販売好調が続く韓国の携帯電話端末

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2006年03月30日

  • 黒坂 慶樹
韓国では、携帯電話端末事業がホットである。携帯電話端末事業の2005年実績では、大手サムスン電子、LG電子がそれぞれ営業利益の28%、55%を占め、一躍収益源となった。日本でもボーダフォンやドコモで韓国製携帯電話の販売が始まったが、欧米市場では北欧勢に続く勢力となっている。大和総研では2006年も大手電機の携帯電話部門の収益好調は続くと想定している。国内市場では、2005年下半期に発売した新機種の販売好調に加え、「補助金制度」が2003年以来復活し、買い換え需要の増加が見込まれるためだ。

サムスン電子は「超スリムフォン」、LG電子は「チョコレートフォン」と言った超薄型携帯を2005年に発売し、人気を集めている。2005年6月から世界初の地上波デジタルマルチメディア放送(DMB)が始まり、コンテンツもより充実した。DMBは、テレビ番組などの配信が可能だが、対応端末が必要となる。

一方、制度的な変化も2006年の携帯電話販売を助けるだろう。2006年3月31日より再び始まる「補助金制度」とは、18ヶ月以上の利用者に対して通信会社が機種買い替え時に利用者に対して補助金を出すというもの。補助金の額は通信会社や利用状況により様々だが、最高20万ウォン(約2.4万円)強となる見込み。最新の超薄型携帯の価格帯は50~60万ウォン(6~7万円)と非常に高価であることから、補助金効果は携帯電話販売の追い風となろう。

国内のみならず、海外でも超薄型携帯電話の販売は好調が続き、端末の輸出は前年同月比+10%で増加している。サムスン電子の2005年世界シェアは12.7%(3位)、LG電子は6.8%(4位)で、2006年はさらに積極的に販売攻勢をかける見込み。また、世界初であるDMB技術も海外への供与を始めた。2006年も引き続き韓国企業の携帯電話販売は国外内の需要に支えられ、携帯電話事業はサムスン電子、LG電子など大手電機企業のキャッシュカウ・ビジネスとしての存在感が増していくだろう。

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