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米国の住宅投資の今後について

2006年02月14日

鈴木 誠

「米国の住宅投資について」とタイトルを見ると、きっと読者の多くはエコノミストがありきたりの米国の住宅投資の見通しを述べているのだろうと期待するかもしれないが、残念ならが本エッセーではエコノミストのような見通しを述べるものではない。

ここでは、「住宅投資と誘引(インセンティブ)」という点から米国の住宅投資を考えてみたい。一般に多くの投資は合理的な判断、一言でいうと儲かる可能性が高いという裏づけ、に基づいて行われているはずである。みすみす損をすることが明白な投資を行うという行動は、儲けたい!という希望を持った投資家からすればありえないことだ。しかし、庶民の生活でなじみの深い「年末ジャンボ宝くじ」や「サマージャンボ宝くじ」はどうだろう?「あれは投資ではないよ」とか「宝くじは夢を買っているんだ」と答える向きもあるかもしれないが、宝くじにおける平均的な投資収益は投資金額を下回る、つまり宝くじを1枚買った場合の期待回収額は購入価格よりも少ない、つまり、合理的な投資とはいうことはできないのである。しかし、人はその魅力にひきつけられ、ごく自然と宝くじを買ってしまう行動を見ると、どうやら必ずしも合理的に行動しているのではないことが理解できる。

さて、住宅投資について考えてみよう。宝くじと違って、投資額が大きいので投資(あるいは購入する)にも慎重となるはずである。ただし、一般的な情報として「住宅価格が上昇し続けている」という状況下では、投資をどうしようかと考えている向きにとって、この情報は住宅投資の誘引となるのは確かであろう。ただし、これだけの情報では現実に投資に踏み切るには時間を要するかもしれない。もっと、身近な情報、たとえば散歩で通るときに見る感じのよい家の価格などが分かったり、理想的な住宅地域の戸別の不動産価格情報が不動産屋に行かなくても分かることとなれば、理想を現実に近づける努力、つまり、住宅購入というプロセスに進む可能性は高くなると考えられる。

先日のウォール・ストリート・ジャーナル誌によれば、あるWebサイトにおいて全米の4200万戸の住宅価格情報を固定資産税に基づいて地図上で示すサービスを行っていると紹介されている。「隣の家の芝生は青い」というが、このような新しい住宅投資の誘引、あるいはカタリストの登場は、今後の米国における住宅投資において果たす役割は小さくないと感じている。

ウォール・ストリート・ジャーナル2006年2月8日付け”Finding a House Gets Easier”

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