地域の活性化に貢献する郵便局

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2006年02月03日

  • 丸山 将一

郵政民営化においては、「あまねく全国で利用されることを旨として郵便局を設置する」とともに、地域貢献基金から資金の交付を受け地域貢献業務を実施することが法律で義務づけられており、全国津々浦々に置かれている郵便局ネットワークを活かして、地域住民にとってより利便性の高いサービスを提供するものとしている。

現在の郵便局においても、「地方公共団体事務」(※1)、「ひまわりサービス」(※2)、「地方公共団体との防災協定」(※3)といった地域に密着したサービスを行っている。これは、「地方公共団体の合併等に伴う役場の統合」、「少子高齢化の急速な進展」、「災害発生時のための体制維持」といった課題と向き合っていることを意味している。

このように、郵便局の地域社会に果たしている役割は大きく、自律した地域社会を目指して更なる貢献が期待されるところである。特に民営化によって、業務範囲の幅が広がることから、地域に密着したサービスを通して培ってきたノウハウを活かし、地域の活性化につながる新たなサービスの仕組みを構築することができると思われる。

そのためには、郵便局について、アナログとデジタル双方向変換の拠点、情報発信の拠点として捉えるなど、様々な視点から考えることが重要である。例えばITの視点から、(1)電子メール等のデジタル情報を使いこなす孫と、手書きに馴染みがあるお年寄りの間を結びつける郵便サービス、(2)郵便局に無線LANの基地局を設置し、ブロードバンド基盤の地域間格差の是正に役立てること、(3)郵便局の物流基盤とノウハウを活用して、地域商店と家庭を結ぶ「お買い物ポータルサイト」を開設することなどが考えられる。

今後、このような地域社会に大きなインパクトを与える郵便局の運営については、民業圧迫の観点を踏まえつつ、地域住民の視点を活かした複眼的なアプローチが必要であろう。

(※1)「地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律」(平成十三年十一月十六日法律第百二十号)に基づいて、郵便局にて地方公共団体の事務を取扱うこと。

(※2)過疎地域において高齢者が安心して暮らせる地域社会づくりを目指した、生活用品等の注文受付及び注文品の配達、郵便外務職員による郵便物配達の際の励ましの声かけ及び郵便物の集荷サービスなどのこと。

(※3)郵便局が地方公共団体との間で防災協定を締結し、災害が発生した場合、必要に応じて相互に協力を要請し、応急復旧対策等に取り組むこと。 

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