機敏な環境対応でハイジャンプ

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2006年01月18日

  • 岡田 良行

2006年のビッグイベントのひとつであるトリノ冬季オリンピック開催まで残り1ヶ月を切った。昨年来、国民的アイドル選手達の激烈な国内選考が話題となった女子フィギュアや、若い選手達が国際的にも活躍しているスノーボードなどはトリノでの金メダルも期待できるだろう。一方で、かつて「日の丸ジャンプ隊」と呼ばれたスキージャンプ陣の厳しい状況はさびしい限りである。あまりの日本の強さに、身長の低い日本人にとって不利なルール改正が実施され、新ルールへの対応に遅れ、失速している。加えて、ベテラン勢の奮闘には多大なる敬意を表しはするが、若手の台頭がなく、今回の代表選手はかつて聞いた名前が多い。

日本の企業収益は、現在、まさしく安定飛行の真っ只中に位置している。7期連続も夢ではない史上最長の増益継続が期待できるのは、業界再編などのリストラクチャリングによる収益体質の強化が実を結んだものといえる。90年代以降、時間はかかったが、売上高の右上がり神話の崩壊への対応が今回の増益継続ジャンプの原動力となっている。

企業を取り巻く環境の変化は常に起きている。04年度に、90年代以降初めて史上最高利益水準を更新した素材産業の中でも、製紙メーカーは今後の収益の伸びに黄色信号が灯っている。在庫の増加に減産対応が遅れており、中国での能力増工事が輸入紙圧力となる懸念もでている。他業界に先行して業界再編を実現した同業界が新たな環境不安に対し、どのような手を打てるかに、注目したい。

日本の業界再編の方向性は、ここまで、生き残りをかけた淘汰競争、業界大手数社への集約がメインであった。今後は、残存競争を勝ち抜いた業界大手企業による将来の高い成長をめざした戦略実現に向けてのアクションに方向が移っていくと考えられる。業界再編の第2ステージが姿を現わしてくると見られる。

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