高値更新のラテンアメリカ、さて来年は?

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2005年12月14日

  • 長谷川 永遠子
今年も残すところ2週間あまり。ラテンアメリカは米金利の上昇という逆風が吹く中もファンダメンタルズの改善を進め、株、債券共に先進各国の投資収益率をはるかに上回る成績を残すことができそうだ。ラテンアメリカの来年を占う上でのポイントは次の3点に絞られる。

1点目は、ファンダメンタルズの改善は来年も続くだろうということだ。それは格付けに反映される。現在、格上げの可能性が最も高いのはコロンビア。コロンビア経済再生の立役者、ウリベ大統領の再選を可能にする法改正がこの程終了し、政治的不透明感から経済ファンダメンタルズの割には低く据え置かれていた格付けの修正が期待できよう。シングルBからダブルBに格上げされたばかりのブラジルにも、複数の格付け会社が格上げ見通しをつけている。

2点目は、上昇に転じた先進国金利である。米国はそろそろ利上げ打ち止めとしても、ECBが利上げに転じ、日本も金融緩和解除の時期を模索していることから、ラテンアメリカに入る資金は細る方向にある。ラテンアメリカのファンダメンタルズ改善と先進各国のインフレ懸念との綱引きは今のところ前者に軍配が上がっているようだ。それでも今後は流入資金量が細るのだから、これまでのような大相場は期待しない方が無難である。

3点目は、2006年のラテンアメリカが大統領選ラッシュとも言える状況だということである。ペルー、コロンビア、メキシコ、ブラジル、エクアドル、ベネズエラで大統領選とそれに伴う議会選が予定されている。選挙前になると政治的に難しい構造改革は停滞し、候補者同士のなりふり構わぬ足の引っ張り合いも目立つようになる。マーケットは不透明感を最も嫌うので、選挙前はどうしても手がけづらく、選挙後はスプレッド縮小から株、債券共に上昇が期待できる。2006年はこうした選挙のタイミングを利用するスプレッド運用が有効だと思われる。

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