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EUと中東欧諸国

2005年09月13日

岡田 恭二

昨年5月に中・東欧地域の10カ国がEU(欧州連合)に加盟してから1年以上が過ぎた。

昨年の新規加盟10カ国の実質経済成長率は5.0%と前年(3.8%)に比べて加速し、既存のEU15カ国の成長率(2.2%)を大幅に上回った。この高成長は他のEU諸国への輸出の拡大と設備投資の増加によるものである。EU加盟により、通関手続き等が簡素化され、他のEU加盟国への輸出が拡大しやすくなるというメリットを享受したといえよう。今年の成長率は昨年を下回る4%程度と予想されるが、依然としてEU15カ国を大きく上回る成長が続くとみられる。

一方、新規加盟国は、ユーロ参加基準をクリアするために、財政赤字の削減を始めとした各種の経済構造改革を今後も実施しなければならない。これらの改革は短期的には景気にマイナスの影響を与えよう。

やや長い目でみると、2007年にもEUへの加盟が認められるとみられるブルガリアとルーマニアを加えると、中・東欧諸国は人口1億人以上を有する一大消費市場とみることもできる。現在EU15カ国平均の約半分に過ぎない一人当り所得が高い経済成長により増勢を強めており、生活水準も着実に上昇してきている。

既存の加盟国の中には、EU拡大によるメリットよりもデメリットの方が大きいとして、不満の声が強まっている。EU憲法案における最終意思決定方法やEU予算の配分などにみられるように、既存加盟国が不利になっていると感じている。しかし、既存加盟国にとっては、自らの経済効率を高めつつ、共通市場の拡大を図る以外に経済の安定的な高い成長を持続させる道はなかろう。相対的に高い経済成長が可能な中・東欧諸国を包摂することで、経済に刺激を与えて、経済構造の改革を推進する契機とすべきである。

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