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地方の子供はどうしたらいい?

2005年09月01日

原田 泰

地方の中心市街地が衰退している、地方が衰退している以上に、地方の中心市街地が衰退しているという。郊外のショッピングセンターに顧客を取られているからだ。中心市街地とショッピングセンターの競争で、便利で魅力的な場所が生き残るのは競争の結果で仕方がないにしても、自動車を運転できない交通弱者、高齢者はどうしたら良いのか、バスなどの公共の交通機関には補助金を支払って維持しなければならない(現実にかなりそうしている)、高齢者が徒歩での買い物が可能な中心市街地に移動することを補助すべきだなどという議論がある。

確かにこれは重要な政策課題だが、交通弱者は高齢者だけではない。車を運転できない子供も交通弱者だ。同じ交通弱者でも、高齢者のことばかり心配し、子供のことを心配しないのは偏頗で不公平な政策論ではないか。このような、高齢者重視、子供軽視の思想が、人口減少の一因ともなっているのではないだろうか。

アメリカの昔の開拓農民の子供なら、馬に乗って隣の農場の子供と遊びにいける。日本の今の地方都市の郊外の子供たちは、車に乗れないのでショッピングセンターにも行けず、不便な公共交通機関で中心市街地に出るのも難渋している。

しかし、たまたま休暇旅行の帰り、地震によって遅れた新幹線を待っているときに、中高生がひしめき合っている中心市街地のビルを見た。中高生の好きそうなファッションや軽食の並んだ一帯だった。主婦が車を運転して郊外のショッピングセンターに行くとき、中心市街地は、主婦が買い物する場所ではなくなった。ところが、定期を持つ子供たちにとって、中心市街地は、安価な公共交通機関によって容易に辿りつける場所である。

これまでと同じお店が並んでいても、顧客は変わってしまっている。新しいお客に合わせてお店を変えた地域が生き延びることができる。これは、偏頗な政策論を唱える人々ではなく、公平な判断のできる人々が、地域を発展させることができるということでもある。

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