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地球温暖化と投資家—京都議定書への取り組み—

2005年08月17日

政策調査部 主任研究員 鈴木 裕

普段は地球温暖化問題にあまり関心をもっていないが、夏になると気にかかる。暑い夏がこれ以上暑くなることは、耐えがたい。私たち人間自身の経済活動が温暖化の一因に数えられるが、やはりこう暑いとその進行を食い止めたくなる。
京都議定書は温暖化の原因の一つであるとされる温室効果ガス(二酸化炭素ガスやメタンガス等)の排出量を2012年までに1990年水準程度以下に削減することを批准各国(日本は1990年比6%削減)に義務付ける国際条約だ。しかし、この条約は、最大の排出国である米国が批准していないだけでなく、第二位の排出国である中国やインド・ブラジルといった膨大な人口を擁し今後の排出量増加が危惧される発展途上国には削減義務を課さない。第三位の排出国ロシアは経済停滞により既に現時点で1990年水準を下回る排出量なので、排出削減に取り組むことはあまり期待できないだろう。つまり、京都議定書の枠組みでは、温室効果ガスを地球規模で削減することはかなり難しいと考えられるのだが、今年2月に効力を発しており、日本には温室効果ガス削減の義務が生じた。今後私たちは、暑い夏でも温室効果ガス削減を目指して電力消費を抑制するためにエアコンを切らなければならなくなるかもしれない 。そうしたとしても残念ながら温室効果ガスを削減する効果はほとんど無い。私たちが文字通り汗水流して温室効果ガスを削減しても、米国の自動車や中国の火力発電所の二酸化炭素ガス、あるいは米国同様未批准のオーストラリアの牛が出すゲップ(メタンガス)で帳消しになってしまう。京都議定書が日本の夏を一層不快なものにしかねない。
株式投資を通じて環境問題へ取り組もうとするファンドは米英はじめ日本を含む多くの国で設定されており、中には投資家主導で京都議定書の趣旨を実現するよう企業に働きかけるものもある。社会的責任投資(SRI)の中の一種としての、環境投資ファンドがそれだ。このようなSRIファンドは、企業活動に伴う環境負荷を投資判断の基礎資料に用いる方法をとり、投資するにあたり、投資先企業にエネルギー消費量(電力・ガス・石油などの項目別)や水の使用量、また温室効果ガス放出量等のデータ提供を要求する。こうした投資家による企業への働きかけには共感するところも無いではない。しかし、京都議定書に関する日本の努力がおそらく報われないだろうと思われるのと同じ理由で、苛立ちを感じる。地球規模での温室効果ガス削減効果は、ほとんどあるまい。ただし、証券投資を活用した取り組みが地球温暖化防止に無力だからといって、ただちそれが不要であるということにはならない。京都議定書に意義を認め、ささやかではかない努力であっても、それを望ましいと考え、資産運用にもその考え方を徹底させたいという人がいれば、環境SRIの投資手法はフィットするだろう。

京都議定書目標達成計画(2005年4月28日)には「冷暖房温度の適正化等ヒートアイランド現象の緩和につながる都市のライフスタイル・ワークスタイルの改善を図る。」と記されている。

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