中国の参画が重要な地球環境問題

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2005年08月04日

  • 森田 伊生

2005年2月に発効した京都議定書によって、日本や欧州等の先進諸国は、2008年~12年の間に、二酸化炭素等の温室効果関連ガスを合計で1990年比5.2%(日本は6%削減)の削減義務を負うこととなった。先進諸国では、最も二酸化炭素の排出量が多い米国が参加していないなどの欠陥はあるが、1992年の地球環境サミットで提言された「持続可能な発展」に向けた取り組みが進みつつある。

これに対して中国は、地球規模での環境問題の論議の中では、依然として「発展途上国」と位置付けられている。このため、京都議定書等の地球環境保護に向けた国際的な取り組みに対して、明確な義務が課せられていない。

この一方で、中国の地球環境へのインパクトはきわめて高まっている。一例として、石炭火力発電所の排気等に含まれる二酸化硫黄(SO2)排出問題が挙げられる(図表参照)。二酸化硫黄は酸性雨となって、中国国内のみでなく、日本等の近隣諸国への影響が懸念される。

2001年から実施されている「第十次五カ年計画」では、二酸化硫黄の発生量を2005年末までに1800万トン(うち工業由来は1450万トン)に抑えることが目標として定められている。しかしながら、2003年の実績では目標をはるかに超過しているのが現実である。

このような状況を踏まえて、2006年から開始される「第十一次五カ年計画」では、より厳しい環境規制の導入が予想される。しかし、中国は地球環境保護に関する国際的な取り組みの対象外となっていることや、環境規制については、必ずしも外部からの監視機能は働いていないのではという指摘もあることから、国際的な観点からは、一層の実効性の確保が求められよう

中国国内での規制の早期導入は、国際的な環境保護への取り組みの実効性を高める上で重要なことは言うまでもない。環境問題への取り組みは、持続可能な経済発展を実現するための一翼となろう。今後、中国も環境対策に一層の力を入れてくることが予想される。この意味では、中国での環境ビジネスは、成長ポテンシャルのあるセクターの一つと位置付けられよう。

図表:中国における二酸化硫黄の排出量と政策目標(単位:万t)

(出所)中国国家環境保護総局「中国環境年報(2003年版)」より作

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