中国における販路開拓

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2005年07月11日

  • 三橋 忠

近年、中国は生産拠点としてよりもむしろ販売市場として注目されている。この背景には、個人や企業の購買力が急速に高まっていること、規制緩和が進み参入障壁が更に低くなったこと、日系企業が得意な高機能製品の需要が高まっていることなどが挙げられる。

このような成長性のある中国市場を取り込むべく各企業とも販路開拓を積極的に推進している。ただ、中国市場は先進国の市場と比べるとまだまだ不透明な部分が多く、市場を攻略するためには多くの難しい課題を乗り越えなければならない。例えば、中国に即したマーケティング、販売チャネル、商慣習、取引先に対する信用調査、企画提案など実に多様である。

最近よく「中国で本格的に販売事業を展開したいがどうしたら良いか」という相談を受けるが、中国で販路開拓をするのであれば、先ずきちんと中国市場を分析し『中国に即した販売戦略』を策定することが肝要と答えている。

ではどのように販売戦略を策定していけばよいのか。我々は下図に示すように5つのステップを踏んで検討していくことを提案している。

具体的には、最初に有望顧客業界を絞り込む。というのは中国では業界ごとに市場構造が異なっており、それぞれの業界に適した販売戦略が必要になるため、攻略する業界を最初に絞っておかないと有効な戦略を策定することが難しい。

次に絞り込んだ業界の市場構造分析を行う。具体的には流通構造を把握し、市場参加者と商品・資金・情報の流れを明確化する。その中で特に重要なのは商品の購買決定権を誰が持っているかであり、それが真のターゲットとなる。

それから販売戦略策定のキーとなるターゲットのニーズや商品選定時に重視するポイント等の分析(ターゲットの分析)、およびライバルの強みと弱点を把握するための競合企業分析を行う。

最後にこれらの情報を踏まえ望ましいターゲット、販売商品特性、販売チャネル、販促方法、取引条件等を明確化し、それらと現状とのキャップを分析しながら販売戦略を検討するといった流れである。

中国は確かに有望な販売市場であるが難しい市場でもあり、販路開拓に際しては、多少の時間とコストを掛けても事前にきちんとした戦略を策定することが望まれる。
 

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