投資国選定基準の一つである情報化普及度

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2005年07月05日

  • 佐藤 清一郎

経済発展途上にあり、生活基盤インフラを含め様々なものが必要とされている国は、いわば、それだけで投資機会がたくさん存在していると言える。中国やインドに注目するのは、このためである。しかし、投資国選定の基準は、こうした発展途上狙いということばかりではない。情報化普及度合いも重要な選定基準になりうる。情報化は、経済構造の質的変化を促す力がある。発展段階から見て、成長力が落ちたと思われる国でも、情報化を推進することで十分に蘇る可能性を秘めている。ここに投資チャンスが生まれる。ここでは、情報化普及度ランキングを2つの視点で見てみる。一つは、ランキング上昇率、もう一つは、普及度ランキングそのものである。前者では、情報化進展の勢いが把握でき、後者では、情報化の現状が把握できる。

まず、ランキング上昇率を見ると、高い国としては、モンゴル、ウズベキスタン、メキシコ、エジプト、スロバキア、中国等があげられる。エジプト、中国は、インターネットの普及で順位をあげた。普及度が既に上位に位置する国で、更にランキングを上げた国としては韓国がある。韓国では、アジア通貨危機で大きくダメージを受けた際に、情報化を、経済再建の重要な柱と位置付け、積極的に推進してきているが、その流れが依然、続いているようである。その他では、チェコ、ブラジル、タイ等も比較的上位のグループに属している。

次に、ランキングそのものを見ると、1位米国、2位アイスランド、3位スウェーデン、4位ルクセンブルク、5位デンマーク、6位フィンランドといった順番となっている。北欧を除く欧州主要国では、ドイツの15位が一番高く、16位が英国となっている。欧州連合には入っていないが、欧州に位置する国として、7位ノルウェー、11位スイスがドイツより順位が高い。アジア地域では、シンガポールの順位が最も高く9位、次が香港12位、韓国14位となっている。日本は、これらの国より順位が低く17位で、アジア地域では、情報伝達技術の普及が遅れてはいないが、進んでいるとも言えない位置である。オセアニア地域が比較的健闘しており、10位オーストラリア、18位ニュージーランドとなっている。中東では、イスラエル、アラブ首長国連邦が、19、20位となっており、地域内では、比較的進んだ状況にある。大まかに言って、情報化の進展は、米国、北欧、アジア、大陸欧州、中東といった順番のようだ。投資国選定にあたっては、この辺の所も注意しておきたい。

 


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