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婦人服が売れない?

2005年07月01日

原田 泰

地方都市では婦人服が売れないという。なぜ売れないかと言えば、車で通勤するからだという。車で通勤すれば、服を見る人はいない。職場に行って制服や作業着に着替えて仕事をする。夕方また着替えて車に乗る。車から降りるところは食品スーパーとファミレスしかないから、粋がって服を着るところがない。だから婦人服が売れないという。

地下鉄や電車で通勤すれば、皆が見ている。知らない人にでも、見せる服がいる。地下鉄のある都市では、デパートが都心にあり、洒落た婦人服売り場がある。

因果関係はつねに相互作用をもつ。洒落た婦人服売り場のある都市に住みたいと人が集まってくることもあるだろう。すると、婦人服の買いやすい都市になって、女性はますます着飾って外に出ることになる。皆がそうしているからということで、さらに婦人服が売れることになる。

では、地下鉄のない都市ではどうしたらよいか。服を着ていく場所を作ってはどうだろうか。社交の場所があれば服を着る。アメリカの小さな大学町では、大学のホールが社交場になる。芸術系学部の学生が音楽を演奏し、劇を上演する。人々がそこに着飾って出かける。もちろん、着飾らない人もいる。女子学生でも、ジーンズもいればロングドレスもいる。日本の場合、地方にたくさんのホールはできたが、あまり社交の場所になってはいないようだ。

考えてみると、アメリカでは、地下鉄にそれなりの服で乗らなければという発想はない。着飾って乗れば、ホールドアップに会うかもしれない。するとアメリカでは、どこで婦人服を着るのだろうか。社交の場がそれほど広く深く社会に浸透しているのだろうか。それとも、アメリカでは大都市でも地方都市でも婦人服は日本ほど売れていないのだろうか。

地下鉄に、それなりの格好をして乗らないといけないと感じることのできる日本は、まだまだ捨てたものではない。治安が維持され、人々には小ぎれいにしている余裕があるということだ。

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