スウェーデン経済の減速
2005年06月16日
今年のユーロ圏経済の実質経済成長率は、昨年に比べて鈍化するとみられる。EUには加盟しているものの、ユーロを導入していないスウェーデン経済も成長率の鈍化が明確となってきた。
輸出の減速を主因に、実質GDP成長率は昨年の3.6%から今年は2%をやや下回る程度にまで減速すると予想される。昨年の3.6%成長を可能にしたのは二桁増を記録した輸出の拡大であった。純輸出等の成長への寄与度は2.3%ポイントに達した。自国通貨高やユーロ圏経済の減速で、昨年末から輸出の伸びが急速にスローダウンしてきた。内需も、低金利や減税の影響で固定投資が堅調であるものの、家計が近年低金利で負債が急増したこともあって、消費に慎重な姿勢を強めているため、低い伸びに止まっている。
平均してみると、ユーロ圏を上回る経済成長を遂げてきたスウェーデン経済の牽引役は輸出である。ユーロ圏向け輸出の割合が高まってきている。スウェーデンは社会保障制度への配慮や金融政策の自由度確保などを理由にユーロを導入していないが、ユーロ圏経済の影響を強く受けているため、経済政策等での自由度は実質的に大きくない。02年初めからスウェーデン・クローナの対ユーロレートは極めて狭いバンドの中の動きとなっているため、他通貨に対する動きはほぼユーロと連動している。政策金利もECBと同水準になっている。
ユーロ圏経済と同様に、経済構造改革の問題も抱えている。昨年の高い経済成長にも拘らず、失業率の低下ペースは鈍い。ユーロ圏経済との密接な関係を維持したまま、経済の着実で持続的な拡大を実現するためには、社会保障制度の改革は早晩避けられないかもしれない。来年の総選挙を控えて、経済の減速は再びユーロ圏経済との関係についての論議を活発にさせることになろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
中国:自動車産業の内巻、国外では強みに
新エネルギー車(NEV)の急発展と自動車輸出の急増
2026年05月18日
-
上場オーナー企業と公開買付制度・大量保有報告制度の見直し
2026年5月1日に大量保有報告書等の提出義務が発生する場合も
2026年05月15日
-
デジタルアイデンティティ・デジタルクレデンシャルをめぐる取組みと実装技術の論点整理(第1部)
デジタルアイデンティティの基本像と、EUDIウォレットにみる制度化・実装動向
2026年05月14日
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 何故、わが国では潜在成長率が低迷しているのか?
高市政権は成長戦略を強化する方針だが、①労働、②資本、③TFP(全要素生産性)という3つの要素をバランス良く底上げする必要
2026年05月13日
-
まちづくりと書いてチームビルディングと読む
2026年05月18日

