エネルギー高騰時代に一石四鳥の省エネ策

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2005年05月24日

  • 牧野 潤一

筆者の住んでいる地域に面白いNGOがある。地球温暖化問題を解決するため、市民の立場で足元からできることを始めようという市民ネットである。

この環境NGOの取り組みの一つに冷蔵庫の買換え無利子融資制度がある。

冷蔵庫は、家庭の電気代の20%弱を占めるが、最近の家電製品の省エネ技術は目を見張るほど進んできていて、10年前の製品とくらべると消費電力量が1/3以下というものも珍しくなく、CO2の排出も60%以上削減できる。筆者が今使っている冷蔵庫は1996年に購入、年間電力使用量は588KWH 、年間電力料金に換算すると13,500円である。それに比べ、現在店頭に並んでいる同じ容量の冷蔵庫の電気料金は4,000円弱である。もし、今買い換えれば、毎年1万円弱の電気代が節約でき、エネルギーは2/3も節約できる。しかし、1台10万円もする新製品への買い換え、今使っているものをまだ使えるのに捨てられない、最近の冷蔵庫の省エネ効果を知らないなど、買い換えが進み難い状況もある。これに対し、このNGOのプログラムは購入資金の一部を無利子融資(買い替えによって節減できる年間電気料金相当額の5年分を事前に無利子融資)することで、割高感のある省エネ家電への買い替えを促進しようとするものである。

エネルギー価格が高騰し、省エネの重要性が高まる中で、非常に意味のある取り組みと言える。ただ、NGOには融資枠の制約があるためその効果には限界がある。本来ならばこうしたプログラムは国・世界各国の政府レベルで行われるべきものであろう。最近の省エネ技術は冷蔵庫に限らず、エアコン、テレビ、照明、電気ポットなど幅広く広がっているが、家計の買い替えを促進させることができれば、光熱費の節約、省エネの実現、CO2排出の大幅削減、買い替え需要の喚起など、一石四鳥の効果が期待できる。省エネ対策として非常に有望ではないだろうか。

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