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新興市場危機の再来はない

2005年04月26日

長谷川 永遠子

最近の米金利上昇で、新興市場国の債券、株式市場は軒並み年初来安値か、それに近い水準まで下落した。これが新興市場危機につながる長期のトレンド変化にならないかと気をもむ投資家もいるだろう。筆者は米国でインフレが十分に抑制されており緩やかなペースでの利上げが続く限り、新興市場危機の再来はないと見ている。その根拠は次の通りだ。

第一に、新興市場国は1990年代の経済危機をばねにファンダメンタルズの大幅改善に成功した。新興市場国の格付けは、かつてのダブルBがトリプルB(メキシコ、ポーランド)に、シングルBがダブルB(ブラジル、トルコ)にと、各々一段階引き上がっている。
第二に、米国の10年債利回りは94年のメキシコ危機時8%、97年のアジア危機時7%で、現在の4.5%とはまだ大きな開きがある。インフレへの対応が後手に回った感のある94年や97年と比べ、今回のFED(米連邦制度準備理事会)の動きはインフレが十分抑制されている中、政策金利を景気中立的な水準まで戻すことを目標としている。

第三に、新興市場は2000年より資金不足の国に対して資金を提供する側に回っており、危機を誘発するような過剰資金流入は見受けられない。94年のメキシコや97年のタイでは、経済成長に伴う旺盛な需要が経常赤字をGDPの7~8%に膨らませ、その分海外からの資金調達額も大きくなった。94年や97年の米金利上昇に伴って世界の資金フローに変化が生じ、これらの国々はそれまでの消費パターンを維持できなくなり、為替の大幅調整が起きたのである。危機を通じて新興市場国は輸出主導の経済成長を志向するようになった。タイ、ブラジル、フィリピン、インドネシア、ロシア、マレーシアなど、かつて危機を経験した国の多くが今は経常黒字国(=純資金輸出国)に転換している。

米国はあと数回小幅利上げを行った後、その効果を見極めるべく利上げを小休止するだろう。新興市場への投資タイミングを探る時期もそろそろ近づきつつある。

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