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自動車と電機、15年間の明暗格差が意味するところ

2005年04月14日

三宅 一弘

日本経済が絶頂期であった80年代後半に電機と自動車はわが国のリーディング産業であった。その後15年が経ち、電機の凋落が際立つ一方、自動車は米BIG3を追い抜くまでに進化を遂げている。事業環境が自動車にとってフォローの風が吹き、電機にとって逆風だったとも一概に言えない。競争相手の米国や韓国、台湾などの電機メーカーには飛躍を遂げたところも散見されるからである。おそらくこうした明暗格差を生んだ一因は、日本にとって自動車は今も15年前も得意産業であり続けているが、電機は時間経過とともに日本の苦手産業に変容していったからではなかろうか。

日本企業は元来、自動車のように各部品間や各組織・工程間で密接に連携・協業しながらトータルな競争力を発揮するな製品造りが得意である(藤本隆宏「日本のもの造り哲学」日本経済新聞社)。逆に製品の設計思想がオープンでモジュール化したモノは不得意である。PCのように業界標準部品を寄せ集めて造られるような製品はその典型といえよう。電機業界では、デジタル化やコモディティ化の進展などで、過去5~10年間に製品がドンドンとオープン・モジュール化していった。しかも競争相手の米国は元々、移民の国で何でもマニュアル化する風土であり、アイデアを重視する風土である。事前にうまいルールやシステムを構想し、それを押しつけて普及させる能力に優れており、知識集約的なオープン・モジュール分野を得意としている。加えて、韓国や台湾企業は、オーナーや財閥トップの強大な力を背景に素早い意志決定で巨額投資を断行するなど、資本集約的なオープン・モジュラー分野を得意としてきた。また、安価で豊富な労働力を有する中国では労働集約的なオープン・モジュラー分野を得意としている。わが国電機の競争相手が強さを発揮してきたわけである。

投資アイデア的には、強さを増した自動車(トヨタやホンダなど)に鍛え抜かれた関連企業群(自動車部品、照明・ランプ、塗料、ベアリング、タイヤ、高級鋼板、特殊鋼、磁石、カーオーディオ、工作機械、FA・ロボットなど、幅広い自動車関連産業)が要注目だろう。自動車(トヨタ、ホンダなど)からの厳しい品質要求と同時に、厳しい価格要求から、あまり高くない利益率のために株式市場では地味な存在でのところが結構多い。世界最高水準のモノ造りの土台の上で、第二の柱が伸びているところなどは特に魅力的である。また、本業でも、中国など東アジアで中間層の爆発的増加局面に入り、モータリゼーションが進展していく。しかも中国が省エネ・環境重視政策に舵を切り、日本の自動車(特にハイブリッド車)、および関連産業にとって大きな追い風が吹くからである。

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