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情報システム構築の都市計画的アプローチ

2005年04月08日

梅田 暁

ITと経営の関係が密接になってきた現代において、情報システムはその企業の成長モデルやビジネスモデルの変化に追随して適正にかつ永続的な成長を遂げるべきであろう。ここでいう情報システムとは企業活動において人々が意味のあるデータ(情報)をやり取りするための仕組みであり、いわゆる "コンピュータシステム"を包含する概念である。

一般的なシステム構築プロジェクトにおいては、達成スコープが"その時点におけるコンピュータシステムの製造完遂"であるため、完成したシステムが「企業内の情報システムを構成するツールとして永続的成長を遂げられるか」という視点が希薄になりがちである。結果としてコンピュータ内に蓄積されたデータ構造の部分的な最適化のみが施され、数年後には実態に即していないということで全面再構築に至るが、これを"老朽化"とか"技術が古い"といった表面的な理由で説明されていることが見受けられる。

企業の情報システム構築は建築の世界での都市計画にも喩えられるように、"アーキテクチャ"という言葉がよく使われる。最近では企業が部分最適から全体最適への変革を遂げるための方法論として、ザックマン氏の「情報システム・アーキテクチャのためのフレームワーク」が注目されており、この「ザックマン・フレームワーク」を参考として最近話題のEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)も策定されている。

ザックマン・フレームワークによれば、情報システム・アーキテクチャの視点をステークホルダーズ(関与者)と5W1Hのマトリックスによって与えている。ステークホルダーズとは経営者、情報システム部門、ユーザ、設計・開発技術者等の視点に大別されており、企業の情報システム・アーキテクチャを策定する際には、利用者の視点のみならず、経営的視点や技術的視点までを立体的に組み合わせて整理することが求められているとわかる。

こういったフレームワークを参照して、ビジネスの構造(アーキテクチャ)を全体最適の視点から可視化することで、情報システム構築時の関与者間の共通理解を得るための基本的な概念が明確化される。結果として情報システムのあるべき姿を明確に写し出すことが可能となる。

情報システムはテクノロジー優先に捉えられがちであるが、ビジネスの目的にしたがってITの適用方法を決めることが本質的な"使い捨てシステム"への解決策である。企業が変化に強い成長するシステムを手にするために、情報システムの揺ぎ無い土台作り(基礎工事)に取り組んでいく事が、遠回りな道のりのようではあるが大切な事ではないであろうか。

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