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グローバル・インバランス

2005年04月01日

田谷 禎三

ここ数年、グローバル・インバランスが問題となっている。世界的な国際収支のアンバランス問題のことで、その中心は米国の経常収支赤字である。米国の経常収支赤字は、歴史的に見ても、国際比較の上からも維持可能な水準を超えてきているとみられる。しかも、米国は対外直接投資や対外株式投資を活発に行っており、それらを含めれば米国が必要とするファイナンス必要額はさらに巨額なものとなる。ただ、米国は基軸通貨国の特権で自国通貨によるファイナンスができるし、巨大な債券市場を持っており、国内債券発行残高に占める外人保有比率が1/4程度にとどまっている。また、世界的に資金運用上のいわゆるホーム・バイアスが低下してきていることも助けとなる。

とは言え、米国の経常収支赤字と米国の対外エクイティー投資(対外直接投資と対外株式投資)はますます膨れ上がってきており、対米債券投資などによる資本流入が不十分だと、ドルに下落圧力がかかる。事実、2002年あたりからドルは下落傾向を示している。自国通貨の上昇を抑制したい国は為替市場でドル買い・自国通貨売りの介入をし、外貨準備を積み上げている。日本はここ暫く介入を手控えているが、中国を筆頭とした多くの東アジアの国々や、インド、ロシアなどは、そうした対応をとり続けている。だが、こうした対応も一部で難しくなりつつある。たとえば、中国の場合、介入の結果もあって、中央銀行のバランス・シートが膨張し、すでに米連銀のそれさえ凌駕してきている。

足許、米国は超金融緩和からの脱却過程にあり、短期金利が上昇してきていることもあって、ドルは堅調である。しかし、長い目でみたドル安傾向は続いており、米国の長期金利は相対的に上昇圧力を受けてきている。たとえば、米独間の10年物国債利回りが開いてきている。ドル安に加え、米国の長期金利が上がれば、経常収支赤字の原因である米国の貯蓄投資のアンバランスも改善するはずである。ドル安、米長期金利の上昇、また、各国の対米輸出依存度の引き下げが必要である。ここでの問題は、こうしたことが起こるかどうかではなく、いつ起こるかである。この点では、残念ながら答えはない。

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