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今、米国株式に注目

2005年01月26日

松原 英人

2001年の確定拠出年金(DC)法可決・成立および同年秋からの積立て開始から3年が経過した。他に企業年金のない企業従業員の場合、企業型DCの積立額は合計130万円程度になっているはずである。企業年金のある企業従業員の場合でも積立額は65万円程度となる。給付を受けられるのはずっと先のこととはいえ、そろそろパフォーマンスが気になってくるのが人情というものである。

この3年間、専ら国内株式に投資した人であれば、途中肝を冷やす局面もあったに違いないが、相場回復で現状では5%程度のリターンが得られているのではなかろうか。国内債券も1%台の利回りではあったが、まずは堅く貯めることができただろう。好調だったのは欧州資産で株・債券ともユーロ高で高リターンが得られた。逆に米国資産は不調で、株・債券ともマイナスリターンを余儀なくされた。

では、この3年間のファンダメンタルズの変化に合わせて、今後どのようにアロケーションを組み直したらいいか。やや大まかではあるが、いくつか前提を置きながら5年程度先までの期間について、最適化を試みてみた。

結論から言えば、米国資産、とりわけ米国株式の組み入れがパフォーマンスを伸ばす鍵となるものと予想される。

まず、国内株式はリストラ進展もあって6%台、国内債券も市場のコントロールが依然保たれるものと仮定して1%台のリターンが得られるという前提を置く。過去3年間好調だった欧州は、肝心のユーロ相場が最近の「ドル暴落懸念」の高まりで、かなり過大評価に振れている。PPP(購買力平価)ベース等で、対ドル、対円でも3割方過大評価と思われる。とりあえず、対円で3割の半分15%の過大評価が5年かけて剥落する程度の調整を仮定する。年率マイナス3%の為替差損が欧州資産の収益率に水を差すことになる。

米国資産については株式の見通しが焦点である。2000年初頭の「ITバブル崩壊」の記憶が覚めやらず、とても強気にはなれないという方も多かろうが、企業業績は2002年春頃を境に回復している。会計問題などの議論・修正を経て、よりたくましい成長軌道に入ったようにも見える。むろん景気てこ入れのために採られたがむしゃらな金融緩和の影響も大きい。これが、国際収支悪化と前述の「ドル暴落懸念」の蔓延にもつながっているわけである。だが、マクロ的にはドル安という迷惑を近隣にまき散らしながらも、米国個別企業ベースでは利潤を拡大し、株主資本の極大化をあくまで進めるという経営姿勢が首尾一貫して追求されている。欧州企業は堅い通貨価値を背景に、潤沢なキャッシュフローを維持し、高配当だが、成長性には欠ける。ブランド付きの貯金箱といったイメージの株が多い。これに対して、米国株式は、株主資本の成長を裏付けに、早晩上昇過程に入ると予想される。ドル安は米国投資には当然マイナス材料である。しかし、米国企業にはそれを克服してキャピタルゲインをもたらしてくれるだけの馬力がありそうな点に注目したい。

上記前提を基に最適化を試みると、リターン12%まで最適解が得られるが、ユーロ安(円高)を見込むために欧州資産の期待リターンは下がり、株式・債券とも組み入れ対象に入らない。ポートフォリオの期待リターンは米国株式の組み入れ上昇によって得られるという結果が得られる。2年前まで組み入れから外れやすかった日本株式も健闘が見込まれる。期待リターン5%水準では、日本債券60%、米国株式30%、日本株式10%という組み入れ比率となるが、期待リターン10%では、米国株式70%となり、残りを日本債券と日本株式が分け合うことになる。

DCポートフォリオ強化のため、米国株ファンドの買い付けなど米国株アロケーションの増加を検討してみてはいかがだろうか。

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