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労働分野におけるCSRの考え方

2005年01月24日

河口 真理子

現在、CSR(企業の社会的責任)というと、環境保全対策や、コンプライアンスが真っ先に思いつく。実際に日本企業の環境保全対策は世界でもトップクラスである。しかし欧米でCSRというと、一番重要視されているのは労働問題である。特に高い失業率が社会問題になっている欧州でその傾向が強い。日本では最近までの終身雇用制・年功序列賃金制と労使協調路線中心の会社別労働組合と低失業率のおかげで、労働問題への注目度合いは低かった。しかし、バブル崩壊後、若者を中心とする失業率の上昇、終身雇用制の崩壊と成果報酬制度の導入、流動化する労働市場と、労働を取り巻く環境が激変するなかで、労働問題への関心が高まってきた。CSR活動として企業としては優秀な人材をひきつけるため、少子高齢化社会に生き残る為に、魅力的な職場を作る企業が増えている。例えば、フレックスタイム、ワークシェアリング、ボランテイア休暇などの導入、育児休業・介護休暇制度の充実など、男女を問わず多様な働き方を選べる職場環境づくりや、女性や外国人の積極的な登用などである。こうした職場をより働きやすくするプラスの対応は、日本企業に働く労働者としては歓迎したい。

しかし一方で、日本企業に関連する職場でも、海外の下請け工場や、国内での不法労働者の場合では、団結権や団体交渉権、最低賃金の確保など労働者の基本的権利が認められないケースも残る。また、連合では「サービス残業の撲滅キャンペーン」を行っているが、日本の労働者も基本的な権利が認められていない部分は存在する。こうした負の部分は忘れられがちであるが、CSR活動を本気で推進するのであれば、プラスの部分だけでなく、これらの影の部分に関しても抜本的に改善していく取り組みが求められる。

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