1. トップ
  2. レポート・コラム
  3. コラム
  4. 中国の新キーワード「循環経済」

中国の新キーワード「循環経済」

2004年11月22日

経済調査部 主席研究員 齋藤 尚登

北京市はオリンピック関連の建設プロジェクトを2006年末までに可能な限り完成させる。2007年はインフラ・設備のスムーズな運営や若干の手直しに充てられ、2008年8月の北京オリンピックを万全の体制で迎えるとしている。また、2007年以降、基本的に建設プロジェクトを認めないのは、空気を少しでもきれいにしたいとの思惑もあるという。現地に駐在する者としては、期間限定ではなく、恒久的な空気浄化対策の実施が期待されてならない。

現地紙をみていると、最近のキーワードとして、「循環経済」という言葉の登場回数が増えている。これは、今までの経済成長が、その速さを重視するあまりに、大量生産・大量消費・大量廃棄という、無駄の多いものになっていたとの反省を立脚点に、成長の質を重視し、経済全体の低消耗化・低排出化・高校率化を目指すものである。その根幹をなすキーワードは、「省エネルギー」と「環境保全」であるといえる。

循環経済を推し進めるには、地方政府に対して何らかのインセンティブが与えられる必要があろう。例えば、現在の地方幹部の関心事は、担当地域の経済成長率と税収を高め、自らの「政績」(政治的得点)を上げることであるが、この政績の中身を実質GDP成長率から、グリーンGDP成長率に変えることなどは一考に価しよう(グリーンGDPの算出は既に構想段階から具体化の段階にある)。この場合は、地域の工場・設備の効率性やクリーン度合いなどが、評価対象となり、低効率、高公害、高資源消耗が著しい設備の廃棄が進む一方で、高品質・高効率・低公害という基準をクリアした新たな生産設備の建設・導入の推進が期待される。

「省エネルギー」と「環境保全」は、日本企業の得意分野でもある。中国関連銘柄というと、従来は、素材や海運、建機など、中国の高い成長性に着目したものが目立っていたが、今後は、中国経済の質的な向上に資する、省エネや環境保全といったテーマにも、注目すべきであろう。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
執筆者紹介
経済調査部
主席研究員 齋藤 尚登