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緒に付いたM&Aブームは何をもたらすか

2004年11月16日

古島 次郎

2004年1~10月のM&A件数は1,767件に達し、過去最高だった2002年年間の1,752件を既に超えた。再来年に商法改正などのM&A関連の法整備が予定されているが、既にM&Aは再びブームを迎えつつあるようだ。日本におけるM&Aは、その経済規模に比べて極端に少ない。2003年の日米のM&A金額を民間設備投資、株式時価総額(東証1部、NY証券取引所)と比較すると、前者は米国の47.7%に対して日本は7.8%、後者は米国が4.3%、日本は1.9%。単純に比較することは困難だが、米国の水準をベースに考えれば日本は半分以下の規模に留まっている。また、現在の日本のこれらの水準は、M&Aが増加しはじめた1980年代前半の米国と同程度だが日本でも同じ道を歩もうとしているようだ。

M&Aの増加は、マクロ的には人・モノ・カネといった資源の再配分を通じた効率化を進める。株式市場には、経営者の規律を高めるなどの効果が期待されるが、その他にどのような想定されるだろうか。日本のPERは世界的な水準に収束してきているが、資本効率の低さからPBRは低い状態。この資本効率格差が経営サイドからもたらされているとすると、M&Aのハードルが低くなれば、自社事業拡大のためM&Aを用いるストラテジック・バイヤーにより、業種にかかわらず外資・日系を組み合わせた業界再編が加速度的に進むことになろう。

更に、一時は6割近くあった東証1部のPBR1倍割れ比率は、足下では是正されたとはいえ4割近い。投資会社によるTOBを用いたM&Aが急に増えているが、M&Aを主として財務的な目的で用いるファイナンシャル・バイヤーの躍進も見込まれる。親子間などを除くと買付価格プレミアムが2~3割程度もあることから思惑的な買いも入り、低PBR割安銘柄の底上げが見込まれる。ただし、中小型株が大半のため市場全体の押し上げ効果は数%程度しか期待できない。いずれにしても米国との比較から2~6倍程度の拡大余地がある投資銀行業務は、証券にこれまでにない収益機会をもたらすことは容易に想像される。

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