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アジア共通のテーマはデフレ脱却、動意づく不動産市場

2004年11月15日

由井濱 宏一

アジア各国でデフレ脱却が鮮明になってきた。シンガポールや台湾でそれぞれ03年半ば、04年年初にCPIがプラスに転じ、最近では香港のCPIがプラス圏内に上昇してきた。背景には04年に入って顕著になった原油価格をはじめとするエネルギー・資源価格高騰といったコストプッシュ要因もあるが、より重要なのは03年第1四半期に鮮明になり始めた世界的な景気拡大の流れである。その中心に中国の存在があることは疑うべくもないが、最終消費地の米国需要の高まりが生産拠点としての中国を経由したアジア各国の外需の高まりを促し、それが内需拡大につながり供給側のプライシング能力拡大に結実している。

最も象徴的なのが香港のケースで、通貨危機以降5年近くにわたるデフレ時代を経て、ようやくデフレ脱却の兆しが見えてきた。中国との経済協力関係の強化で、中国本土から香港への訪問客が急増(04年8月までの月平均でみた中国からの訪問客数は03年の月平均を40%以上上回った)、香港の不動産、小売、サービス業に対する需要拡大が全体の物価水準の押し上げに貢献している。こうした傾向が長期化するとみた内外の投資資金が香港の資産市場(不動産、株式)に流れ込み、それが内需拡大への信頼感を醸成する好循環を形成しつつある。香港の不動産価格の値上がりが急ピッチであるため、一部には過熱感が生じているとの見方もあるが、価格水準自体は97年当時の半値以下であり、バブルといえる状況ではない。

日本でも東京を中心とする大都市圏では地価の下落に歯止めがかかっており、近い将来のデフレ脱却の動きを先取りする動きが出ている。欧米やオーストラリアなどの先進地域に遅れる形でアジア地域でも不動産市場が動意づいており、それは新たな投資マネーを、同地域に引き付けることにもつながる。アジア地域全体で、不動産、銀行などの内需関連セクターが今後とも有望だろう。

●アジア各国のCPIの推移(前年比)

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