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安定したビジネスモデルの確立をめざすヘッジファンド

2004年10月25日

田中 裕文

ヘッジファンドは近年急速にその残高を増やし、現在は1兆ドルに近い資産規模に達していると推計されている。かつては富裕層が主な投資家であったが、ファンド・オブ・ファンズを通じて一般投資家の参加が増え、また投資収益のボラティリティーの低さに魅力を感じた機関投資家が、資金を振り向けている。

特に確定給付型年金は、時価による積立不足の認識と債券・株式市場の低迷により、資金運用政策の見直しを迫られ、ヘッジファンドへの投資が世界的に見ても増加すると見られている。

日本においては、厚生年金基金連合会のアンケートによると、2003年度現在でオルタナティブ投資(うち多くをヘッジファンドが占めると考えられている)を実施している企業年金基金は2割弱、今後の実施を検討している基金が2割強となっている。

欧米においては、バンク・オブ・ニューヨークの調査によれば、機関投資家の投資額は4年後に5倍になるとの結果が出たが、特に確定給付型年金の投資が増加すると予想されている。

かつて市場インパクトの大きさが、中央銀行さえも震撼させる凶暴なイメージが強いヘッジファンド業界において、最近は以下のような傾向が見られる。
 

(1)極端に高率のレバレッジ、高い期待収益率を目指すファンドは少数派となり、安定的な収益の獲得を目指すものが増加した。
(2)SEC(米証券取引委員会)への登録等、規制下に自らを置くマネージャーが増えた。
(3)一定の範囲内におけるディスクロージャーを行うファンドが増加した。

これは単に各国の規制当局が投資家保護の向上のために、規制を強めようとしている状況に対応しただけではなく、
 

(1)投資家の裾野が広がったことにより、顧客から透明性に対する要求水準が高まった。
(2)資金流入の増加により資産規模が拡大し、組織を拡充したマネージャーが、ビジネスの安定化を目指している。
(3)ファンド・オブ・ファンズがヘッジファンドへの投資にあたり、規律・透明性の確保を要求している。

等が背景として挙げられる。

特に(3)に関しては、ヘッジファンドに対して、リスク管理の徹底やバックオフィス機能の強化等、具体的な処方箋を持って改善を促しているファンド・オブ・ファンズのマネージャーもいる。

このような動きは、シリコンバレーにおいてハイテクの技術者が起業し、第三者が関与して会社を発展させていく様を彷彿させ、これまで秩序がないと考えられていたヘッジファンド業界にも、自然発生的な“秩序”が芽生えている証ではないだろうか。

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