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OECDから見た日本の規制改革

2004年10月12日

瀬越 雄二

OECDは本年7月19日、「日本における規制改革」と題する二度目の報告書を公表した。同報告書はOECDが1999年に実施した規制改革(regulatory reform)に関する国別審査に続くものであり、OECD勧告がその後如何に実施されているかをフォローアップする内容となっている。折しも、本年3月、日本では「規制改革・民間開放推進3ヵ年計画」が閣議決定され、また郵政民営化等が新聞紙上を賑わせている昨今である。そのわりに、なぜか同報告書は全く注目されていない。規制改革の問題はコーポレート・ガバナンスならぬ、パブリック・ガバナンスの問題に触れる。

1999年報告書の前文は、規制改革について次の様に言及する。有益な規制改革には、透明性、一貫性、包括性の追求が必要であり、それは、制度を構築する問題からネットワーク産業の自由化、独占禁止法等の執行、対外的または体内的な市場開放等の問題を包含する。今回の報告書は、前回の調査以降に実施された日本の諸改革(総合規制改革会議の設置、3ヶ年計画の実施、構造改革特区の設置、等)を大いに評価しつつ、他方、次のような改善勧告を行なっている。「日本では事項別に規制改革を実施する傾向があるが、政策の一貫性の観点からは適当ではない」、「規制改革はセクショナリズムを超えて政府全体としての取組が出来るかどうかが鍵」、「1999年以降、通信、電力、ガス、郵便、運輸部門において、注目すべき改革はない」、「規制政策の立案体制と実施体制の分離が必要」、「OECD諸国で実施されている規制影響分析(Regulatory Impact Assessment、通称“RIA”)が実施されるべき」、等。

RIAは1980年頃からアメリカ、英国等で実施され始め、現在ではOECD加盟国で実施されている政策評価手法である。その内容は、規制の目的を明確にし、実現のためのオプションを特定し、オプション毎に可能な限り費用便益分析、費用効果分析等を行い、RIA報告書を作成する。コンサルテーションを通じて、広く国民から意見を徴収し政策決定過程に国民等を参加させる。簡単に言うとこうなるが、これではとてもRIAの真髄に触れていない。別の説明を試みると、RIAとはパブリック・ガバナンスの観点から行政改革を促進し、行政のあらゆる過程において透明性、説明責任、一貫性を確保しつつ、政策の経済的・社会的影響を客観的に評価し、より良い政策を実現するツールである。OECDは日本にこのRIAを速やかに実施することを勧告している。「日本版」RIAは早晩姿が見えてくるだろう。規制改革とは、「単なる規制緩和ではなく、国の統治過程の信頼性を高める不断の努力であり、市民、産業界、利害関係者の福祉に寄与する行動」という。日本人が不得手な戦略的・統合的アプローチである。

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