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景気に慎重な見方増える

2004年07月30日

大和総研 顧問 岡野 進

前回6月末の公開市場委員会(FOMC)で4年ぶりに利上げが行われたが、利上げ幅はわずが0.25%であり、いわゆる引き締めへの転換とは程遠いものであった。その後、発表された6月の雇用統計では、非農業雇用者数の増加が11万2千人と、それまでの3ヶ月間の月間30万人ペースから大きくスローダウンした。サービス業の雇用が減速したが、もしこれが減税による税還付効果がなくなったことで、個人消費のサービス消費にすでに影響が出てきてしまっているためであるとすると、すぐにサービス業の雇用が盛り返すことは難しいといえるだろう。

雇用統計の中でのもうひとつの注目点は賃金動向で、時間当たり賃金の上昇率が再び鈍化したことだ。これも、消費→雇用→賃金→消費の好循環がまだ十分には機能しきれていない証左だろう。6月の鉱工業生産統計で見ても、前月比0.3%減少の主要因が消費財の0.7%減少であり、財の消費においても税還付出尽しの影響が出てきているのではないかと懸念される。5月分も下方修正されており、産業景気について慎重にみる向きが増えるだろう。

6月の消費者物価もコア部分で前月比0.1%と上昇に鈍化がみられた。物価上昇に加速感がないことが示され、慎重な利上げという金融当局の判断が正しかったことが確認された。

景気・物価の状況からみて、短期実質金利を鮮明なプラスに持ち上げるような政策が必要となっていないことから、今後も金融当局は慎重姿勢を維持するだろう。

前回の公開市場委員会の直後には、次回8月10日にも小幅利上げが行われることを見込む意見が多かったが、この間に発表された経済統計を考えると、利上げが見送られる可能性も高くなった。7月の雇用統計に注目したい。

(7月21日 フジサンケイ ビジネスアイ「NYウォッチング」掲載)

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