国民1人当たりの借金1000万円時代はそう遠くない??
2004年07月29日
このように日本の現況は循環的には明るい方向に向かっていることは確かである。だが、以下に述べるように、構造的には深刻度は一段と増している。
財務省が6月25日に発表した「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」によれば、2004年3月末現在の国債及び借入金残高は703兆1478億円(内訳は、国債556兆4163億円、借入金60兆6057億円、政府短期証券86兆1259億円)である。1997年3月末の国債及び借入金残高は355兆1685億円だったので、7年間で2倍近くになっている。年率10%強のペースで増加していることになる。一方で、人口の方は、1997年3月末1億2496万人から2004年3月末1億2776万人ということで、この7年間でわずか2%程度増加しているのに過ぎない。国民1人当たりでみた国債及び借入金残高が284万円から550万円にまで増加しているのも頷けよう。
さらに、財務省が年初に出した「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」によると、2017年度の国債残高は903兆6800億円となっており、借入金と政府短期証券が2004年度3月末から横ばいとしても、2017年度の国債及び借入金残高は1050兆円強となってしまう。国民1人当たりに換算すると、2017年度の推計人口を1億2564万人として(中位推計)、835万円に達する。さらに、地方の債務残高は2004年3月末で200兆円余りあるが、これが横ばいとしてもトータルで1250兆円となるから、国民1人当たりに換算すると1000万円弱となるのである。
今年度の国債発行予定額162兆3407億円のうち、新規財源債は36兆5900億円だが、借換債は84兆4507億円と新規財源債の2.3倍に達している。ちなみに、新規財源債とは「当該年度に発生する新たな借金」であり、借換債とは「過去の借金の期限が到来したものの、その借金が返済できずにする再借金」のことである。この現実には、単年度の歳入不足もさることながら、過去の累積債務がいかに深刻なものであるかが示されているのである。
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