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日本型長期不況入りを懸念する韓国

2004年07月15日

五百旗頭 治郎

韓国では、「今の韓国はバブル崩壊後の日本と似ているのでは?」「韓国も日本型長期不況に陥るのではないか?」という懸念が急速に広がっている。去る7月1日、大和証券SMBCソウル支店は、ソウルで地元機関投資家などを対象に『日本の不動産・株式市場セミナー』を開催した。セミナー会場は定員(180名)を大きく上回る約240名の聴衆であふれかえり、日本の不動産市場への関心の高さを再認識させられた。

日本型不動産バブルではなかったが、内需停滞は深刻

筆者は、韓国の不動産市場はバブルではなかったと考えている。そして、韓国の不動産市場が日本の1990年代前半のように大暴落する可能性はまだまだ低いと考えている。日本の6大都市の土地価格は90年までの10年間に約4倍に上昇したが、ソウルのマンション売買価格の過去10年間における上昇率は1.9倍にすぎないⅠ。その間、日本の名目GDP(円ベース)は1.8倍に増えたのに対し、韓国の名目GDP(ウォンベース)は2.6倍にも拡大しているのである。

また、韓国の銀行の不動産融資に対する審査姿勢も当時の日本とは比べ物にならないほど保守的だ。現在、不動産担保融資の担保掛け目は30%~40%にまで抑えられている。加えて、韓国が最近経験した『不動産バブル』は、日本の80年代後半の『不動産バブル』とは性格が全く異なる。日本は企業が主導したバブルであったのに対し、韓国の場合、主役は個人(家計)であった。韓国では、個人によるアパート購入・投資の拡大によりアパート価格の急上昇を招いたが、企業の動きは目立たなかった。これは、企業の不動産投資が厳しく制限されていたうえ、経済危機後に韓国企業はむしろリストラを余儀なくされていたからである。したがって、韓国が、日本がバブル崩壊後に経験したような長期不況に陥ると考えるのは短絡的すぎよう。

しかし、韓国は、日本が90年代に苦しんだ経済構造問題とよく似た2つの問題を抱えてしまっている。そのため韓国では、今後、内需低迷によるデフレ圧力が高まる可能性が高い。実際、最近の物価統計を見ると、国際原油価格急騰により輸入物価や卸売物価が急上昇しているにもかかわらず、消費者物価は非常に安定しているⅡ。韓国が抱える経済構造問題の一つ目は、家計負債増による消費の長期停滞リスクであり、二つ目は、製造業の空洞化進行による国内設備投資の停滞長期化リスクである。90年代の日本とは原因は異なるものの、結果としては、日本同様の内需停滞がすでに始まっており、韓国政府による積極的な内需刺激策の実施が待たれよう。

Ⅰ)ソウルのマンション売買価格は01年~03年末の最近3年間では72%上昇している。90年代前半はほぼ横ばいであったうえ、98年の経済危機時に下落していたため、最近10年間では約90%増にとどまる。
Ⅱ)年初来5月までの物価上昇率は、消費者物価 +2.0%、卸売物価 +4.4%、輸入物価 +6.8%。ここ3ヵ月の消費者物価はマイナス傾向となっている(前月比増減率、4月:0.0%、5月: -0.1%、6月:0.0%)。

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