進化するデータセンター・ビジネス
2004年07月12日
"現在、米国におけるデータセンター・ビジネスが大きく変化しつつある。データセンターは2000年の好景気を背景とした設備投資の増大の影響を受け、同業界に進出する企業が続々と誕生した。しかしながら景気低迷以降、Globix 社やExodus Communications社等の大手をはじめとして、データセンターを生業とした企業の多くが倒産に追い込まれ、施設や設備自体が余剰となる結果となった。現在、ビジネス・モデル変革と共に、これらの余剰な施設の有効活用が焦点として浮上しており、データセンターにおけるサービス提供形式も、単なる施設や機器を貸与する「コ・ロケーション」から、コンピュータ資源の提供や資源の最適化へ移行しつつある。さらにサービス・デリバリーの形態も、基本的なメンテナンス・サービスから顧客の需要に応じてコンサルテーションを行うBTM(Business Transformation Management)へと進化していることがうかがえる。
コンピュータ資源の提供に関しては、以前よりユーティリティ・コンピューティング(注1)が注目されてきた。IBM、HP、Sun Microsystemsを筆頭に大手ベンダー各社では、一斉にユーティリティ・コンピューティングのサービス戦略(注2)を展開するまでに至っている。また最近、ユーティリティ・コンピューティングを発展させたものとして「Adaptive Resource Management(ARM)」という概念に注目が集まっている。ARMとは、コンピュータ自身が資源の適正配分を管理することを意味し、具体的には、データセンター全体における資源の集中管理を行い、稼動中のアプリケーションに対して必要な資源を自動的かつ動的に追加、もしくは割り当てをする。米国ではARMが今後3~5年に本格実用化するものと予想されており、先に掲げた大手ベンダー各社を中心に同分野への進出を目指している。
このように一度、収縮しかけたデータセンター・ビジネスであるが、「コンピュータ資源の最適配分」をキーワードにビジネス・モデルを変化させることで再度興隆をみせられるか、今後の注目点となるであろう。
(注1):ユーティリティ・コンピューティング:コンピュータ資源を電気や水道のように、利用した分だけ料金を支払うサービスを意味する。
(注2):主なサービスとして、On Demand(IBM)、Adaptive Computing,iCOD(HP)、OpenScale/ Automated Storage(EMC)、N1(Sun Microsystems)、Dynamic Systems Initiative (Microsoft)などが挙げられる。
コンピュータ資源の提供に関しては、以前よりユーティリティ・コンピューティング(注1)が注目されてきた。IBM、HP、Sun Microsystemsを筆頭に大手ベンダー各社では、一斉にユーティリティ・コンピューティングのサービス戦略(注2)を展開するまでに至っている。また最近、ユーティリティ・コンピューティングを発展させたものとして「Adaptive Resource Management(ARM)」という概念に注目が集まっている。ARMとは、コンピュータ自身が資源の適正配分を管理することを意味し、具体的には、データセンター全体における資源の集中管理を行い、稼動中のアプリケーションに対して必要な資源を自動的かつ動的に追加、もしくは割り当てをする。米国ではARMが今後3~5年に本格実用化するものと予想されており、先に掲げた大手ベンダー各社を中心に同分野への進出を目指している。
このように一度、収縮しかけたデータセンター・ビジネスであるが、「コンピュータ資源の最適配分」をキーワードにビジネス・モデルを変化させることで再度興隆をみせられるか、今後の注目点となるであろう。
(注1):ユーティリティ・コンピューティング:コンピュータ資源を電気や水道のように、利用した分だけ料金を支払うサービスを意味する。
(注2):主なサービスとして、On Demand(IBM)、Adaptive Computing,iCOD(HP)、OpenScale/ Automated Storage(EMC)、N1(Sun Microsystems)、Dynamic Systems Initiative (Microsoft)などが挙げられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日

