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米国4年ぶりの利上げも既に後手?

2004年07月08日

成瀬 順也

6月30日、米国は4年ぶりに利上げを実施。政策金利であるFF金利誘導水準は0.25%引き上げられ、1.25%となった。利上げは2000年5月16日以来、約4年ぶり。遂に、超金融緩和状態からの脱出が開始されたことになる。

しかし、筆者は米金融当局が既に後手に回っているのではないかと懸念している。もっと早い時期に大幅に、例えば5月のFOMCで0.50%引き上げておくべきではなかったか。と言っても、米国経済が高成長を続けて過熱化し、インフレになると主張しているわけではない。全く逆である。米国経済が減速しそうなので、利上げしにくくなると懸念しているのである。

金融当局は利上げを「慎重なペース」で行なうと表明し、マーケットでは年内残る4回のFOMC全てで0.25%ずつ追加利上げすると解釈した。しかし、今後は(1)減税効果の剥落、(2)住宅ローン金利の上昇、(3)ガソリン価格の高騰などから、個人消費が減速するのではなかろうか。また、企業のリストラ意欲は依然として根強いため、3~5月の雇用急増は最悪期からの脱出時に見られる一時的な反動である可能性が高い。となると、景気減速を示す統計が発表されるなかで、大統領選(11月2日)を控えたセンシティブな時期に、利上げを行なえるのであろうか。

そもそも、今回の金融引締めは、ITバブル崩壊に対応しようと金利を急低下させたところに、イラク戦争などの不透明要因が重なったため、さらに緩和せざるを得なかった「異常事態」からの脱出を図るものである。であればこそ、景気が絶好調の5月のうちに大幅利上げを行なっておくべきだったと思うのである。グリーンスパンFRB議長には、昨年「市場との対話」に失敗し、長期金利を急騰させた苦い経験がある。今回は逆に市場への利上げ浸透に時間をかけ過ぎたあまり、後手に回ったのではなかろうか。

結局、年後半に予定している利上げが先送りされ、将来のインフレの芽を育ててしまうことが怖いのである。計画は、いつまでも温めていないで、さっさと実施すべきであろう。筆者の懸念が無用になるくらい、年後半の米国経済が強ければ良いのだが・・・。

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