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欧州議会選挙の結果から見えてきたもの

2004年06月22日

岡田 恭二

5年ぶりに欧州議会選挙が行なわれた。選挙民には今一つ実感に乏しい選挙だが、EU25カ国で一斉に行なわれた選挙だけに有権者の関心や政治潮流を計る上で注目された。

結果をみると、EU新規加盟国における低投票率、西欧諸国における与党の敗退、EU懐疑派の台頭、という特徴を指摘できよう。ただ、どれも事前に予想されたことで、大きな驚きを与えたとは言えない。

西欧諸国に共通して、今回の選挙結果に大きな影響を与えた問題としては、労働市場や年金制度の改革など、西欧諸国における経済構造改革政策がある。この問題を巡っては、意見の対立が激しさを増し、国内的に大きな軋轢を生じている。労働組合の影響力が低下しているとはいえ、構造改革に対する反対や不満は根強い。

この分野での社会民主主義系の政党と、中道右派政党の政策の違いが小さくなっているため、批判票や不満票は、政権与党から野党第一党への流れが相対的に少なく、他の政党へも移動し、分散傾向がみられた。国内総選挙であれば、政権の構成を考慮に入れた投票行動となるが、欧州議会選挙の場合、よりストレートな投票行動がみられた。英国で、EUからの脱退以外は具体的な政策に乏しい英国独立党が大幅に躍進したのは、その典型であろう。

選挙の争点の中心は、EUの今後のあり方ではなく、各国の国内問題が占める。それこそ、EU統合が政治面では進展していないという、現在のEUの状況を如実に示しているのではないか。逆に言えば、各国は、それだけ深刻な意見の対立を招くような重要な国内問題を抱えている。西欧諸国の政治動向からは目を離せない。

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