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順調な雇用回復の背景

2004年06月18日

大和総研 顧問 岡野 進

米労働省が4日発表した5月の雇用統計(速報、季節調整済み)によると、非農業部門雇用者数は前月比24万8000人増加した。30万人を超えていた3、4月よりは減速したものの、順調な雇用回復が始まっているといってよいだろう。失業率は5.6%と前月比変わらずであったが、時間当り賃金上昇率は前年同月比で2.4%に回復した。賃金面でも回復が鮮明になったことでデフレ懸念は遠のいたといえるだろう。

一方、非農業雇用増加で30万人以上となるような「強すぎる」数字がでなかったことで、6月末にも予想される利上げ幅は大きくならないとの予想が優勢となった。今後短期間で金融引締めに移行するという懸念は収まり、長期金利の上昇につながる形にはなっていない。景気の順調さは確認されたことから株価にはプラスといえる。

今回の雇用回復の背景には、これまで停滞していた個人消費のサービス消費が、やっと回復傾向となっている事実をあげることができる。第14半期GDP統計によると、個人消費のサービス消費は年率4.2%増と前期の2.8%から加速した。2002年第24半期以来の4%超である。特に恒常的に伸びている医療を除く部分でも4.2%増であり、これが4%を超えるのは2000年第24半期から実に4年振りである。こうしたサービスへの需要面の拡大がサービス業の雇用増加につながっていると推測される。

ただし、3、4、5月の3ヶ月間で94.7万人、年換算すれば378.8万人というようなハイペースでの雇用拡大が続く可能性はあまり大きくない。現在の個人消費の好調は、昨年の減税からくる税還付による可処分所得増加の影響を大きく受けており、6月以降この影響が剥げ落ちてくる。家計部門を中心にした自律的な好循環(個人所得増→サービス消費→サービス部門雇用→個人所得増)が起きているかどうかについては慎重にみるべきであろう。

(フジサンケイ ビジネスアイ6月10日(木)掲載)

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