繰延税金資産、自己資本算入制限の是非
2004年06月03日
| 繰延税金資産の取崩しを発端とした、りそな銀行への公的資金注入から1年が経過した。繰延税金資産を厳格に計上すべきとする流れは、金融機関における自己資本の繰延税金資産依存度が高いことを理由に、2002年の金融再生プログラムに盛り込まれたものであるが、りそな銀行の一件以降、繰延税金資産に対する外部の目は、それまでよりも厳しさを増した。金融審議会では、金融機関の自己資本に関して、繰延税金資産の算入制限を行うべきか否か、現在も、検討を続けている。 りそな問題から1年経過した今年は、UFJ銀行において巨額の引当て不足が表面化した。UFJ銀行の件では、繰延税金資産の取崩しまでは至っていないが、赤字決算となった後も、今後5年分の課税所得をベースに繰延税金資産を計上することには、一部から疑問の声が上がっている。また、同じく2004年3月期決算においては、びわこ銀行が、急遽、自己資本増強に動いた。これも、自己資本の繰延税金資産依存度が高い点を、監査法人から指摘されたためである。 しかし一方で、りそな問題以降、繰延税金資産に対する企業の姿勢に変化が見られるのも事実である。大手行では2003年9月期から、繰延税金資産の算定根拠の開示がスタートした。これにより、繰延税金資産の透明性が高まったこともあってか、大手行の繰延税金資産計上額は減少に向っている(下表参照)。また、株価回復などにより体力が回復したこともあり、大手行以外でも、より保守的に繰延税金資産を計上する企業が散見されるようになってきている。 繰延税金資産の計上限度額については、税効果会計の導入時から、日本公認会計士協会がまとめた指針(注)が存在する。本来、この指針に則って厳格な計上が行われるのであれば、自己資本への繰延税金資産の算入制限は必要ない。しかし、課税所得の見積りなど不確定要素に依存するなど、現行のルールに限界があるのであれば、別途、自己資本への算入制限も必要となろう。金融審議会は、近く、この難解な問題に対して、一つの方向性を示す予定である。 |
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| (注)「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」日本公認会計士協会 監査委員会報告第66号 |
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齋藤 純
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