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価格下落不十分な液晶テレビ

2004年05月31日

杉下 亮太

デジタル家電景気の牽引役の一つとして液晶テレビが挙げられている。日本ではすでに年間テレビ需要の1/4程度が液晶テレビとなった。オリンピックを前に家電メーカーは新機種投入を積極化しており、日本では夏にかけて液晶テレビ商戦がさらに活発化する可能性は高い。

しかし、世界的にみると、液晶テレビの売れ行きは当初の期待ほどではないようだ。特に、液晶メーカーが最も期待をかけている30インチ超の大型機種の売れ行きが伸び悩んでいる。理由は明白で、値段がまだ高すぎる。CRTテレビとの価格差がまだ大きいのはもちろんのこと、同じ金額でより大きなテレビを購入することができるのが現状である。米国では30インチの液晶テレビの小売価格は3,000米ドル程度で、42インチのプラズマテレビと50インチのプロジェクションテレビも同じ価格帯となっている。NYのような都市部は別として、スペースに余裕のある米国人は同じ値段であれば、より大きな大きなテレビを選択するだろう。

液晶テレビ市場が一段と拡大するには、価格が下がらなければならない。しかし、その気配はやや後退気味となっているようだ。流通マージンをどう見るかという部分はさておき、少なくとも主要コストである液晶パネルについては、06年になって6G/7G工場が本格稼動するまでは、期待ほど価格が下がらない可能性が高まってきた。(1)部材不足が長期化の様相を呈していることに加え、(2)製造装置供給面での制約から一部液晶メーカーの投資計画が遅れる可能性があり、さらに(3)05年に量産開始が予定されている6G/7G工場では歩留まり改善により時間がかかると見られることなどが背景にある。大型液晶パネル価格は年率30%下落すると想定してきたが、実際には四半期に5%、年間で20%程度にとどまるのではないか。

それでも液晶テレビが高成長市場であるのは間違いない。ただ、マーケットコンセンサスはやや楽観的すぎるように思われる。台湾・韓国では、液晶テレビ需要は04年に1,000万台というのがコンセンサスで、05年は2,000万台という声もある。しかし、実際には価格下落が不十分なことで目先は需要喚起が小さく、04年で800万台程度(モニターテレビを合わせた場合で900万台)、05年でも1,500万台程度と予想される。

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