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米国のミュージックライフを変えつつあるオンラインミュージックストアー

2004年05月24日

岡崎 豊三

約3年前、ファイル共有技術P2P(Peer to Peer)を利用したプロダクトNapsterによる違法ファイルコピー騒動で、インターネットを通じた楽曲のファイル交換がすっかり有名になったが、騒動から約2年経過した昨年、マッキントッシュで有名なApple社が開始したオンラインミュージックストアー(iTunes Music Store)が、インターネットを通じた次世代の楽曲ファイル交換方法として爆発的な発展を遂げている。Napsterは違法コピーという事で、様々な法的問題や訴訟問題などを巻き起こしたが、今回のオンラインミュージックストアーは、合法な商業ベースのe-Commerce(音楽配信ビジネス)というところが大きな違いである。

この爆発的な発展は、聞きたい楽曲がある場合、インターネットを利用した楽曲ファイルのダウンロードの方がレコード店に行ってCDを購入するより圧倒的に便利だからだと思われるが、それ以外に聞きたい曲を一曲毎に選択して購入でき、しかも一曲99セントという値段が若者に受けているのだと思う。また、楽曲がデータファイルである為、自分のPC上のデータベースに納めて、自由に検索・編集できるという側面も大きいように見える。この現象を見ていると、ミュージックCDの棚が家庭から無くなるのもそう遠い日ではない事が予想される。

この3月中旬、Apple社はオンラインミュージックストアーで販売した楽曲が5000万曲(用意されている曲目数は3月中旬現在約50万曲)を突破した事を発表した。このApple社の成功について、競合他社もただ指をくわえて見ている訳ではなく、巻き返しを模索しているものの、今のところApple社が圧倒的に優位に立っている。HP(Hewlett-Packard)やAOL(American OnLine)はApple社と提携してApple社のオンラインミュージックストアーをそのまま自分達のビジネスに取り入れようとしている。米国流通業界の王者ウォールマートはe-Commerceの一環として、先日一曲88セントで音楽配信ビジネスに参入した。

この音楽配信ビジネスに最も苛立っているのは当然の事ながらMicrosoftである。ビルゲイツが今年1月にラスベガスにて、家庭内の電子機器をWindows Media Center Extender(MCX)というハブで繋ぐという、PCと家電の融合をねらった構想を発表している。しかしながら、Appleの今の勢いが続き、Appleの音楽配信方法が音楽配信のデファクトスタンダードになってしまうと、この構想に大きな修正を迫られることになりかねないからである。

このような音楽配信ビジネス活況の中で、忘れてはならない存在がRIAA(Recording Industry Association of America)である。音楽愛好家の新しい時代のニーズを汲み取り、本来ならば自分達がリーダーシップを取って新しい音楽販売方法を提供すべきであったが、RIAAのここ数年、今日に到るまでの主要な活動は違法コピーの訴訟問題であり、その間に音楽産業とは本来あまり縁の無かったApple社に先を越されてしまった。日本ではオーディオメーカーの連合体が音楽配信ビジネスに参入するというニュースがあったが、一足先に色々な事が起こった米国の動向、特にRIAA、Apple社それぞれの姿勢に学ぶところが多いように思う。

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