米国の「双子の赤字」
2004年05月19日
一昨年より、米国経済は、再び、双子の赤字を抱えることになり、その双子の赤字の度合いは、1980年代の時に比べ今回の方が悪くなっている。財政赤字と経常赤字を合わせた対GDP比を見ると、前回の時は、1986年に最も高く、7.4%であったが、今回は、昨年に過去最高となる8.6%を記録し、今年はさらにその記録を更新する見込みである。
双子の赤字を個別にみると、財政赤字の対GDP比(以下、財政赤字比率)は、前回の最も高かった1983年の4.9%に対して、昨年は3.5%と前回よりも低い水準にある。また、今年については、政府見込みで4.5%となっている。なお、弊社では5%を超えると予想しているが、それにしても、前回と比べて、それほど高いわけではない。しかし、中長期的には、財政赤字比率の上昇が傾向化する要因が幾つかある。ひとつは、ブッシュ減税の恒久化である。また、米国の高齢化問題もある。これから4年後の2008年には、ベビー・ブーマー世代の第一陣が社会保障退職者給付の対象年齢に達し、2011年にはメディケア(高齢者医療保険)の対象となる。IMFの試算によると、今後10年の間に、政府債務比率は15%上昇すると予想されており、本格的な高齢社会を迎える前に、社会保障や税など抜本的な制度改革をしなければ、中長期的な政府債務は、加速的に増大する可能性がある。
一方、経常赤字の対GDP比(以下、経常赤字比率)は、前回時、1987年に最高の3.2%となったが、今回の場合、昨年4.9%と過去最高を記録し、前回を1.7ポイント上回っている。この4.9%という数字は、単に過去最高というだけでなく、別の意味ももっている。連銀スタッフによる、先進諸国で起った過去25回の経常赤字の大幅修正に関するワーキング・ペーパーをみると、経常赤字比率の悪化傾向が修正される時の水準は5%とされている(その際、約3年に渡って、所得の伸びの減速と著しい実質為替レートの減価を伴うとしている)。つまり、このレポートに沿って考えるなら、現在の経常赤字はいつ修正を迫られてもおかしくない水準近くにきているということになる。
ところで、経常赤字の問題は、為替レートを通じて、市場によって調整されることになるだろうが、財政赤字は、市場による調整はなく、政府による意識的な改革を必要とする。そう遠くない将来、確実に顕在化する年金・医療費の増大の一方で、一連の減税策、さらにはその恒久化は、財政ポジションを劣悪にするものであり、財政規律の正常化は、次の政権の大きな課題となるだろう。
双子の赤字を個別にみると、財政赤字の対GDP比(以下、財政赤字比率)は、前回の最も高かった1983年の4.9%に対して、昨年は3.5%と前回よりも低い水準にある。また、今年については、政府見込みで4.5%となっている。なお、弊社では5%を超えると予想しているが、それにしても、前回と比べて、それほど高いわけではない。しかし、中長期的には、財政赤字比率の上昇が傾向化する要因が幾つかある。ひとつは、ブッシュ減税の恒久化である。また、米国の高齢化問題もある。これから4年後の2008年には、ベビー・ブーマー世代の第一陣が社会保障退職者給付の対象年齢に達し、2011年にはメディケア(高齢者医療保険)の対象となる。IMFの試算によると、今後10年の間に、政府債務比率は15%上昇すると予想されており、本格的な高齢社会を迎える前に、社会保障や税など抜本的な制度改革をしなければ、中長期的な政府債務は、加速的に増大する可能性がある。
一方、経常赤字の対GDP比(以下、経常赤字比率)は、前回時、1987年に最高の3.2%となったが、今回の場合、昨年4.9%と過去最高を記録し、前回を1.7ポイント上回っている。この4.9%という数字は、単に過去最高というだけでなく、別の意味ももっている。連銀スタッフによる、先進諸国で起った過去25回の経常赤字の大幅修正に関するワーキング・ペーパーをみると、経常赤字比率の悪化傾向が修正される時の水準は5%とされている(その際、約3年に渡って、所得の伸びの減速と著しい実質為替レートの減価を伴うとしている)。つまり、このレポートに沿って考えるなら、現在の経常赤字はいつ修正を迫られてもおかしくない水準近くにきているということになる。
ところで、経常赤字の問題は、為替レートを通じて、市場によって調整されることになるだろうが、財政赤字は、市場による調整はなく、政府による意識的な改革を必要とする。そう遠くない将来、確実に顕在化する年金・医療費の増大の一方で、一連の減税策、さらにはその恒久化は、財政ポジションを劣悪にするものであり、財政規律の正常化は、次の政権の大きな課題となるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
直近のMBOによる株式非公開化トレンド
事例比較による公正性担保措置の実務ポイント
2026年01月27日
-
大和のセキュリティトークンナビ 第3回 不動産セキュリティトークンとは?(後半)
不動産セキュリティトークンの発行・流通動向、税制
2026年01月26日
-
大和のクリプトナビ No.6 暗号資産制度WG報告と今後の注目点
業界再編や自主規制機関の体制整備、オンラインでの適合性確保に向けた議論が注目点か
2026年01月26日
-
米国アセット・ウェルスマネジメント業界のダイナミズム
~変革を生み出すイノベーションとは~『大和総研調査季報』2026年新春号(Vol.61)掲載
2026年01月26日
-
誰かの幸せが時々つらい。Z世代とみるSNSの変遷
2026年01月28日

