株券ペーパーレス化と「タンス株」
2004年04月21日
株券不発行制度・株式振替制度の大枠は、昨年発表された法制審議会の「株券不発行制度の導入に関する要綱」に従ったものとなっている。しかし、今回明らかになった細目の中には、非常に大きな意味をもつポイントも含まれている。そのうちの一つが、株券を「タンス株」として手元に持っている場合の移行措置である。
一斉移行日の前に、予め保管振替機構に預託している場合は、原則、そのまま新しい株式振替制度の振替口座簿に転記されるので、特に手続なしに新制度に移行できる。他方、「タンス株」として株主の手元にある場合は、(株主ではなく)発行会社が指定した信託銀行等の口座で管理されることとなるのである。この口座はあくまで権利を保全するためのもので、取引などには利用できない。そのため、株主は、どの信託銀行などに口座が設けられているかを確認した上で、別途、証券会社等に振替口座を開設し、その株式を移管しないと取引できない。つまり、「タンス株」として一斉移行日まで株券を手元に持っている場合、株券ペーパーレス化の後、移管手続が終わるまではその株式を売却できないこととなるのである。そうした事態を防ぐためにも、また、円滑なペーパーレス化を実施するためにも、一斉移行日までに、保管振替機構への預託を進めていく必要があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2022年08月09日
企業に求められる人的資本と企業戦略の紐づけ、および情報開示
有価証券報告書における情報開示は実質義務化?
-
2022年08月08日
非農業部門雇用者数は前月差+52.8万人
2022年7月米雇用統計:雇用環境は堅調、労働需給はタイトなまま
-
2022年08月05日
2022年6月消費統計
感染状況の落ち着きから、緩やかな回復基調を維持
-
2022年08月05日
内外経済とマーケットの注目点(2022/8/5)
米国市場では8/10に発表される7月の消費者物価が注目される
-
2022年08月09日
投資家は非財務情報をどのように活用しているのか
よく読まれているコラム
-
2022年07月21日
2022年度の最低賃金引き上げはどうなるか
-
2015年03月02日
宝くじは「連番」と「バラ」どっちがお得?
考えれば考えるほど買いたくなる不思議
-
2022年01月12日
2022年米国中間選挙でバイデン民主党は勝利できるか?
-
2021年12月01日
もし仮に日本で金利が上がり始めたら、国債の利払い費はどうなる?
-
2006年12月14日
『さおだけ屋は、なぜ潰れないのか』で解決するものは?