2004年度、株式市場に2つの正常化が実現

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2004年04月05日

  • 東 英治
2004年度の株式市場は、2つの「正常化」が実現する年となろう。第1は、投資家心理の正常化である。日本株市場も、ようやく異常な悲観心理から開放されることになる。企業業績が2002年度以降増益基調にもかかわらず、株価は昨年春まで下落を続けた。

業績と株価のこのような乖離は、戦後初めてである。乖離の原因は、増益を好感できない異常な悲観心理の台頭であり、その要因となったのが(1)不良債権問題と、(2)デフレ継続の2つの重石であった。

昨年春以降、日経平均株価は半年で5割近い上昇を遂げた。株価上昇の原動力は、業績の好調ではない。業績はもともと増益基調であった。業績は株価上昇の「大前提」であり、原動力は不良債権問題の消滅で重石が取れ、異常な悲観心理が好転したためである。

2004年度は、残されたデフレ継続の重石が取れ、心理が好転することが株価上昇の原動力となる。今年3月の上昇相場で、スタートが確認された。心理の好転だけに、今回も昨年同様「速く、高く、短い」相場となろう。6月頃をメドに、日経平均株価15000円どころが期待できよう。

チャート上の節である日経平均株価12000円を明確に突破することで、昨年春の安値が1990年以降の下落トレンドの「大底」であったことが確認できる。日本株は、今後10年単位での上昇トレンド入ったことを意味する。心理の正常化を確認する水準でもある。

第2は、コーポレート・ガバナンスの正常化である。外国人投資家を中心に、M&A等の株主権の行使が積極化してきている。ガバナンス機能の活性化であり、株式市場の効率化の進展といえる。

親子企業の時価総額の逆転現象といったガバナンス構造の異常さも、正常化に向かうことになろう。代表はNTTグループである。NTTは株式の6割以上を保有する子会社のNTTドコモに時価総額で凌駕されたままだ。現在ドコモは11.4兆円、NTTは9兆円強である。

1999年に逆転現象が起って以来、すでに4年が経過した。この間は投資家には、ドコモが再度NTTの完全子会社になる可能性はないとの想定があったとしか考えられない。しかし、ドコモの株券がNTTに変わる可能性の高いことが、過半数を持っている意味である。ドコモ以外の連結利益が赤字でない限り、この異常な逆転現象は必ず修正されることになる。今年は、ガバナンス機能の正常化とともに、「ドコモ売りのNTT買い」の裁定取引が成果を生む年となろう。

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