重視される中国進出後の投資環境

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2004年03月17日

  • 横山 幹郎
現在、有望な事業展開先として中国を挙げる企業は多い。“世界の工場”として、豊富な労働力や原材料を活用した生産拠点という評価が定着し、更に伸張する個人消費に支えられた”巨大な消費市場”への期待からも、今後数年間に渡って日系企業の海外進出・事業展開先としての中国の地位は、ゆるぎないものと思われる。

しかし、中国は成長する市場としての魅力も大きい反面、事業展開する上での環境整備も発展途上にあり、法制度や税制の適用基準、行政手続き等に関する不透明さなど、その課題も多くあげられている。また、昨年はSARS・インフルエンザの発生や、電力不足による供給調整など、事業活動に致命的なリスクとなりうる出来事もおこり、政府当局の行政能力やその姿勢が注目された。

大和総研が実施した日系企業の中国進出検討に関するアンケートでも、これまで注目が高かった用地コスト・人件費などの事業コストや、税制優遇策の有・無といった進出時の事業環境に加え、進出後の「現地政府当局の対応能力・姿勢」や「地域の治安や医療環境の良さ」といった生活環境も、同様に重視すべきであるとの意識が明らかになった。

このような行政サービスや生活環境の地域比較には、政府当局との綿密な折衝を通じ、情報開示の姿勢や外資系企業の事業慣習への理解を量ることに加え、更に現地及び周辺地域の外資系・中国系企業のヒアリングに足を運ぶことが望ましい。しかし実際には時間的制約や利害関係、機密性の問題から困難なケースも多い。客観的な立場からの地域比較などには外部の専門機関を活用し、十分な情報収集と、進出時・進出後の状況を見据えた中国進出の検討が望まれる。

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