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日本経済中期予測—労働力減少・高齢化社会と活力回復の展望—

2004年03月11日

金利為替調査部

【要約】

□ 2003~2010年度の経済成長率(年率、以下同じ)は名目1.3%、実質1.8%を予想。GDPデフレーターは期間平均▲0.5%となるが、2003~2006年度(前期)と2007~2010年度(後期)に分けると、前期▲1.1%、後期0.2%。消費者物価指数(CPI)の趨勢的なプラス転換は、2007年度と予想。名目成長率は前期0.6%、後期2.0%を見込む。
□ 土地資産デフレによる企業のバランスシート調整は、上昇著しかった時価ベースの自己資本比率が低下に転じるなど、転換点がみえつつある。もっとも、前期でそれが続くことには変わりないことが、現在の景気回復をそのまま中期的に延長できない理由。ただ、後期では、過剰債務問題の解消や製造業での設備スクラップの高まりといった素地の上で、企業の負債圧縮行動が沈静化し、日本経済の景色は現在とは大きく異なろう。
□ また、下期では団塊世代の退職開始が予想され、雇用過剰感の解消や賃金コスト面からの企業収益向上が予想される。企業は厚生年金保険料率の毎年の引上げなど、高齢化等による雇主負担増に直面していこうが、それと相殺しても一定の増益トレンドが期待できる。
□ 他方、高度の高齢化、人口減少社会を迎えることについて、悲観的な見方も多い。だが、わが国の現状をひとことでいうと、労働力率が高く生産性が低い経済。人口や労働力減少への懸念は過剰で、生産性上昇へ向けた動きが重要。例えば、近年の自営業主の目立った減少はそうした文脈で理解可能。年金の世代間不公平問題もマネージできる道はある。
□ 足許の家計貯蓄率急低下には特殊な要因の影響があり、本予測期間中、それは緩やかな低下にとどまろう。家計の資金過不足 (ISバランス)でも、統計を詳細にみると家計が構造的な資金不足に陥る方向は見出せず。家計金融資産残高は緩やかながら増加を続けよう。
□ 今後10年間程度の消費を考える場合、良好なバランスシートを有する高齢者層が注目点の一つ。保健医療だけでなく、教養娯楽や住宅、通信に関するカテゴリーが有望とみる。また、低水準に陥っている住宅投資は、世帯数や一人当たり住宅ストックの観点から、後期に多少の増勢を予想。人口減少が住宅投資を抑制するとはいえない。
□ 構造変化著しい貿易構造からは、世界的な需要拡大が今後も期待される電気機械等において、高付加価値品目への一層の特化など優位性回復への課題が窺われる。労働市場の機能強化や対内直接投資の拡大もカギ。中国人民元の切上げに対する期待は、過大なものとして疑問あり。中国に進出している本邦企業への影響と相殺したその効果の方向はプラスだが、日本経済全体に与える影響は極めて限定的。なお、輸出入両面からの結果である経常収支は、GDP比で横ばいの推移を予想する。
□ 政府財政は、今後の税制設計の難しさや利払い負担の顕在化という観点から、非常に警戒すべき状況に立ち至っている。

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