サマリー
◆2020年5月を「谷」とする今回の景気拡張期は2026年7月で74カ月となり、2000年代の「いざなみ景気」(73カ月)を上回る戦後最長となった可能性が高い。ただし、コロナ禍の影響を除くため2019年10-12月期から直近の2026年4-6月期までで見た実質GDPの年平均成長率は+0.8%にとどまり、期間中の実質GDPの増加率も5.6%と、過去の長期間続いた景気拡張期を大きく下回る。
◆需要面では、高インフレに賃上げが追い付かず実質所得が伸び悩み、諸外国と比べても個人消費の低迷が顕著だった。供給面では、生産拠点の海外移転やアジア諸国との競争激化を背景に、製造業の生産や生産性、雇用の弱さが目立つ。雇用の受け皿となっている非製造業も生産性は低迷しており、生産性の高い産業への労働移動は十分に進んでいない。戦後最長となった可能性が高い景気拡張期であるにもかかわらず、多くの家計や企業にとってそれを実感しにくい状況となっている。
◆「実感できる景気拡大」の実現には、経済成長率のトレンドを高める必要があり、AIなどへの投資拡大を通じた成長力強化が重要である。消費活性化に向けては、実質賃金の着実な上昇に加え、インフレに対応した資産形成や中低所得層への再分配機能の強化などが求められる。さらに、教育支出の世帯間格差の拡大が示唆されており、人的資本形成や中長期的な成長力への影響にも留意が必要だ。
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