サマリー
◆2023年1-3月期のGDP1次速報の公表を受け、経済見通しを改訂した。メインシナリオにおける実質GDP成長率は23年度+1.5%、24年度+1.2%(暦年ベースでは23年+1.3%、24年+1.4%)と見込む。経済活動の正常化や春闘での大幅な賃上げ、緩和的な財政・金融政策などが景気を下支えし、世界経済が減速する中でも日本経済の回復が続くとみている。日本経済の下振れリスクは主に海外にあり、中でも銀行不安が高まった米国の当面の経済動向には注意が必要だ。
◆生鮮食品を除く総合ベースのCPI(コアCPI)は23年度+2.4%、2024年度+1.7%と見込んでいる。春闘で30年ぶりの高い賃上げ率の実現が見込まれる中、企業の価格設定行動がこのところ積極化しており、賃金と物価が循環的に上昇し始めていることから大きく上方修正した。
◆日本銀行は、予測期間中は現在の金融緩和策の枠組みを維持すると見込んでいる。ただし、米国の景気下振れリスクや2024年春闘の結果がある程度判明し、賃金の上昇を伴う形で基調的なインフレ率が2%に向けて高まっていくと日銀が判断すれば、早ければ2024年4月の金融政策決定会合でレビューの公表とイールドカーブ・コントロールの撤廃などに踏み切る可能性がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
第217回日本経済予測
安定性を増す内需と下振れリスクが高まる外需①少子化対策、②「L字カーブ」、③米銀行不安、を検証
2023年05月23日
-
日本経済見通し:2023年4月
金利が上昇したら日本経済はどうなるか
2023年04月20日
-
日本経済見通し:2023年3月
2023年春闘では大幅ベアに/物価高の中でも好調な企業収益の背景
2023年03月22日
-
日本経済見通し:2023年2月
経済見通しを改訂/日銀は新執行部の下でも緩和路線を当面継続か
2023年02月22日
-
日本経済見通し:2023年1月
急回復するインバウンドと関心が高まる金融政策の先行き
2023年01月23日
-
2023年の日本経済見通し
実質GDP成長率は+2%程度を見込むもののマイナスに転じることも
2022年12月21日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日