サマリー
◆2022年は歴史的な高インフレが発生し、欧米など多くの国・地域では厳しい金融引き締めを余儀なくされた。また、ロシアのウクライナ侵攻で資源価格が高騰し、一部の新興国では食糧危機が発生した。中国では厳しいロックダウン(都市封鎖)が同国の経済活動を大幅に抑制しただけでなく、グローバルサプライチェーンの混乱ももたらした。日本も主要国と同様に2022年の経済成長率が低下するとみられる。国内の経済正常化の遅れや半導体不足による自動車減産、資源高と円安による海外への所得流出などにより経済活動の停滞感が強かった。
◆当社のメインシナリオでは、2023年の日本の実質GDP成長率を前年比+1.9%と見込んでいる。サービス消費・インバウンド(訪日外客)・自動車生産を中心に回復余地が大きいことに加え、緩和的な財政・金融政策が継続するとみられる。また、約55兆円の「過剰貯蓄」と経済対策が物価高の悪影響を緩和するだろう。約40年ぶりの高インフレや人手不足などを背景に、2023年の春闘では賃金改定率が大幅に上昇する可能性がある。日本銀行は2022年12月の金融政策決定会合で長期金利の変動幅の拡大などを決定したが、賃金と物価の循環的な上昇を明確に確認するまでは長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を維持するとみている。
◆2023年の日本の実質GDP成長率見通しは上振れよりも下振れ余地が圧倒的に大きい。最大の下振れリスクは米国の深刻な景気後退入りである。米国で失業率が10%近くまで上昇すれば、日本はマイナス成長に転じることになる。さらに、ユーロ圏での金融機関のレバレッジの大幅な縮小や、中国での複数の大都市のロックダウンと不動産市場の大幅な縮小、国内の経済正常化の遅れ、自動車向け半導体不足の長期化が加われば、日本の実質GDP成長率は同▲4%台まで悪化するとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2022年11月
経済見通しを改訂/総合経済対策の経済効果と課題
2022年11月22日
-
日本経済見通し:2022年10月
停滞感強まる7-9月期の景気動向を踏まえGDP見通しを改訂
2022年10月20日
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2026年1月号(No.470)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2025年12月24日
-
2026年の世界経済 ~高値警戒感をどう乗り越えるか
2025年12月24日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
最新のレポート・コラム
-
「飲食料品の消費税ゼロ」「消費税一律5%」の費用対効果と必要性
消費減税ではなく、給付付き税額控除の導入を進めるべき
2026年01月21日
-
中国:今後10年の長期経済見通し
第15次5カ年計画の基本方針、山積する構造問題に処方箋を出せず
2026年01月21日
-
「飲食料品の消費税ゼロ」の経済効果
世帯あたり年8.8万円の負担軽減になり個人消費を0.5兆円押し上げ
2026年01月20日
-
データサイエンスで紐解く健康経営②
運動習慣の定着や食生活改善にアプリ等を活用する際には、ナッジを用いた従業員の参加促進がカギ
2026年01月20日
-
『確定給付型年金の再評価と日本企業への示唆』
2026年01月21日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日

