ジェンダー・ギャップ再考

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2025年11月19日

  • コーポレート・アドバイザリー部 主任コンサルタント 宮内 久美

2025年10月21日、高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に選出され、日本初の女性総理による政権が誕生した。このニュースを聞いて筆者の頭に最初に思い浮かんだのは、グローバル・ジェンダー・ギャップ指数のことであった。

グローバル・ジェンダー・ギャップ指数とは、世界経済フォーラムが世界148カ国を対象に、ジェンダー平等の進展を測定・公表している指数である。2025年6月11日に発行された最新のレポートでは、日本は総合スコア0.666、順位118位であった。
このスコアは、教育、健康、経済、政治の4つの評価項目で構成されているが、日本の場合は政治の項目が0.085と極端にスコアが低く、これが総合順位を大きく下げる要因となっている。(スコアは1がジェンダー平等の状態で、1に近づくほどジェンダー・ギャップが小さいことを意味する。)

政治家になるというのは、男女を問わず、誰もが容易に選択できるキャリアではないが、この結果を見るに、特に女性にとってはハードルが高かった職業と言える。その要因は、制度、経済的負担、政党ネットワーク、伝統・文化、知名度など、多岐にわたることが考えられる。その結果として、ロールモデルとなる政治家があまり存在していなかったことも、女性が政治家を目指す障壁となっているのであろう。

高市政権では、女性閣僚は高市総理を含め3名と、過去最大であった岸田内閣の5名より少ないものの、副大臣・政務官の人数は9名(石破内閣では6名、岸田内閣ではゼロ)が起用されており、女性登用が進んでいると言えよう。発足してまだ1カ月ではあるが、高市政権の支持率は高く、マスメディアで取り上げられることも多い。国会中継を見る人も増加傾向のようで、SNSでも国会中継や政治に関する話題が急増しているという報告もある。国民が、リーダーシップを発揮している女性政治家を目にする機会が増えていると言えよう。

地方も含めると、日本における政治分野のジェンダー・ギャップの解消は容易ではないと想像できる。高市政権発足をきっかけに、政治に関心を持ち、将来政治家を目指す女性が増えることを期待したい。

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宮内 久美
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