フィンフルエンサーの規制と取締りに関する海外動向

国境を越えた規制協力、フィンフルエンサー向け教育や認証制度の必要性

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  • 金融調査部 研究員 谷 京

サマリー

◆近年、ソーシャルメディア上で投資や金融に関する情報を発信するフィンフルエンサーが、特に若年層の個人投資家に大きな影響を及ぼしている。日本でも、著名な個人投資家や金融専門家(を自称する者)がSNSで情報発信を行い、フォロワー数を増やしている。SNSは若年層の投資情報源として重要性を増しており、フィンフルエンサーの存在感は今後さらに強まるであろう。

◆フィンフルエンサーは、高リスク投資の推奨・宣伝や誤/偽情報の拡散、利益相反(たとえばステルスマーケティング)といったリスクをもたらし得る。各国・地域の規制当局は、特にフィンフルエンサーによる無資格での投資助言や詐欺的な商品の宣伝を懸念し、フィンフルエンサーの活動を監視・規制する動きを強めている。

◆2025年6月、英国を中心にオーストラリア、カナダ、香港、イタリア、アラブ首長国連邦の規制当局が連携し、違法なフィンフルエンサーの一斉取締りを行った。各国・地域ごとにフィンフルエンサーの逮捕・刑事訴追や注意喚起、海外事業者へのマーケティング活動の停止要請、ライセンス制度の導入など多様な措置が講じられた。

◆日本でも、ソーシャルメディア上での投資詐欺や相場操縦、ステルスマーケティングについては一定の対応が進んでいる。他方で、ソーシャルメディア上で散見される個別銘柄の評価や投資判断への言及、真偽不明の情報で売買を煽る投稿などを完全に規制することは難しい。個人投資家の金融リテラシー向上に加え、フィンフルエンサー向けの注意喚起や教育の充実、認証制度の創設が期待される。

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