生成AIとAIエージェントの将来展望 2030年
2024年10月17日
クライアント企業から依頼を受け、『AIエージェントの将来展望』について、レポートをまとめました。私どもに寄せられる相談も、昨今は生成AI一色です。現代のビジネスパーソンに広く関心の高いトピックスと思われ、今回、概要を紹介したいと思います。
生成AIの展望を語る世間の議論は多いですが、視点はバラバラです。多様な展望視点をいったん、13個に整理しました。
(A) ユーザー
(B) マルチモーダル
(C) 軽量化/高速化
(D) SaaS型とクローズド型
(E) 生成AIと外部機能との連携
(F) 機能分化/専門特化
(G) オーケストレーション/分業
(H) 多段階推論/思考の連鎖
(I) 自律的判断
(J) 代替性/代替効果
(K) セキュリティ
(L) ガードレール/リスク管理
(M) ハルシネーション対策
そして13個の展望視点ごとに、【1~2年後】と【2030年】の展望を検討し、最後に展望の総括を行いました。
(A)の視点では、生成AIが企業ビジネスに浸透した後、一般消費者の日常生活にも浸透する展望で、間違いないでしょう。
(B)の視点でも、テキスト、プラス画像もしくは音声を同時処理するマルチモーダル発展の展望で、手堅いと考えます。
(C)(D)の視点では、あくまで将来の展望ですがいったん、生成AIのローカル化とエッジ化という普及形式を展望しました。高速・高性能でエッジに搭載して使う生成AIが普及し、生成AIはSaaSではなくハードローカルでのカスタマイズと挙動が主流になる、という展望です。5Gの進展と普及という視点を加味すれば、生成AIがSaaSのまま機能し続ける未来も展望でき、現時点ではまだ不確実性の高い議論だと言えます。
(E)(F)(G)の視点で、現在研究開発を進めている方々は多いのではないでしょうか。生成AIが大規模モデルのまま肥大し続けるのではなく、適切な分割と分業およびオーケストレーションに向かう展望は、おそらく間違いないでしょう。その延長として、外部APIとの連携も、展望しやすいところです。
そして(H)(I)の視点が、現在最も関心と議論を集めるポイントになります。生成AIはさらなる技術革新で、どれほど自律的判断を期待通りに実現できるのか。技術発展を信頼するかどうかという、根拠を打ち出しにくい議論となり、また上述のオーケストレーション実現の鍵ともなる技術要素ですが、いったん、将来の生成AIが繰り返しの自己内省と自律的判断、および各機能の適切なオーケストレーションを一定に実現できると、展望を作成しました。
(A)~(I)の展望を総合したうえで(J)の視点では、将来の生成AIは平均的なビジネスパーソン品質のアウトプットを一定部分代替できる、しかし、平均的なビジネスパーソン本人の代替になれるわけではない、と展望しています。
(K)(L)(M)の視点では、生成AIのビジネス利用に際して、オフェンス面でのIT対応と同時にディフェンス面でのIT対策が相応に必要と、ありがちな展望をしました。
確実性の高い論考と低い論考が混在する将来展望レポートとして仕上がりましたが、ここ最近のビジネスパーソンの興味関心に網羅性をもって回答ができるような内容となっているかと思います。今後、生成AI/AIエージェントの将来展望を前提に、『であれば、企業はどうするべきなのか』という議論に、レポートを拡張してまいります。興味、関心を持たれたみなさま、連絡をいただければ、情報交換やディスカッションなど、対応いたします。
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- 執筆者紹介
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フロンティア研究開発センター
フェロー 坂本 博勝
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