米国有権者は大統領選挙をどの程度意識しているのか

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2024年05月20日

11月5日に行われる米国大統領選挙まで、いよいよあと5か月となった。民主党からはバイデン大統領が、共和党からはトランプ前大統領が、それぞれ党の事実上の候補者となり、2020年大統領選挙の再戦となる。今後は、夏に各党が全国党大会を開き、党の政策綱領を採択し、党の正副大統領候補が正式に指名される。各党の正副大統領候補は、9月から10月にかけて公開討論会で議論を行い、11月5日に本選挙を迎える。本選挙では、選挙人(事前に支持する候補者を表明している)の過半数を獲得した候補者が事実上の次期大統領となる。形式的には、その後の12月17日に本選挙の結果を受けた選挙人による投票があり、2025年1月の開票を経て、次期大統領が正式に選出される。

足もとのバイデン大統領の支持率を見ると、40%近辺の低水準で推移しており、不支持が支持を上回っている状況が長らく続いている(※1)。米調査会社によると、1952年の選挙で選出されたアイゼンハワー大統領以降、1期目に選挙で選出され2期目の再選を目指した10人の大統領のうち、バイデン大統領より大統領就任後13四半期の平均支持率が低かった大統領はいなかったとしている(※2)。バイデン大統領に対する有権者の最大の懸念は、その年齢である。2021年に78歳で米国史上最高齢の大統領となった。再選されれば就任時の2025年には82歳、2028年の任期終了時には86歳となる。

一方で、トランプ氏の支持率が高いわけではなく、バイデン大統領と比較した世論調査では、わずかに上回っているものの、その差は僅少に過ぎない(トランプ氏46.3%、バイデン大統領45.2% ※3)。トランプ氏に対する最大の懸念は、4件の事件で起訴されている裁判の行方である。

このように、支持率があまり高くない候補者同士の争いとなっている大統領選挙は、米国有権者にとってそれほど関心が高くないのではないかとも思われるが、ここで、興味深い世論調査がある(※4)。「次期大統領選挙について、どの程度考えているか。かなり考えているか、それとも少ししか考えていないか?」という問いに対し、71%が「かなり考えている」と回答しており、これは、前回2020年の大統領選挙に匹敵する過去最高水準の関心の高さであるという。また、調査によると、この関心の高さと投票率は一致する傾向にあるとされる。

選挙の結果を左右するのは無党派層とされているが、民主党支持者の84%、共和党支持者の78%が「かなり考えている」と回答しているのに対し、無党派層は61%にとどまる。今後の選挙の行方は、この無党派層の選挙への関心をどれだけ高められるか、どれだけ支持を得られるかにかかっているといえるだろう。

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執筆者紹介

金融調査部

主任研究員 鳥毛 拓馬