英語が苦手な私でも、大事にしたいこと

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2024年02月26日

日本の資本市場は、欧米の投資家動向や、規制の影響を受けることが多い。それゆえ、資本市場のリサーチにおいて英語の文献を読むことは不可欠であるが、筆者は英語が苦手である。Google翻訳やDeepL翻訳、ChatGPTなどインターネット上で利用できる翻訳ツールには頭が上がらない。

しかし、これらの翻訳ツールにも限界はある。例えば、英語の文献等に基づく海外情報を参考に、自分でレポートを書いたり、プレゼンテーション資料を作成する際は、自分で言葉を考え、日本語で表現していく必要がある。英語の文献を翻訳して引用する際も、翻訳ツールで出力された日本語をそのまま使うわけにはいかない。原文を読み、関連資料を確認する作業が必要となる場面は多い。

例えば、SDGs(持続可能な開発目標)の目標9の原文“Build resilient infrastructure, promote inclusive and sustainable industrialization and foster innovation”をGoogle翻訳に入力すると「強靱なインフラを構築し、包括的で持続可能な産業化を促進し、イノベーションを促進する」と出力される(※1)。しかし、仮にわからない部分だけ調べようと“Build resilient infrastructure”だけをGoogle翻訳に入力すると「回復力のあるインフラを構築する」という訳が出力される。SDGsの目標9で目指している内容は、水道や電力や通信等、生活に必要なインフラにすべての人がアクセスできるようにすること、また災害の発生を意識してインフラの構築を行うことなどである。「回復力のある」という訳は、災害からの復旧を意識してインフラを作るという点で部分的には合致するものの、やはり「強靱な」の方が本来の意味合いには近いように感じる。

海外の動向を分析した情報を発信する際は、原文やその関連資料を確認する作業を経て、適切な日本語表現を考えることが大事だと思う。適切な日本語表現を考える際は、母国語である日本語の力が試される。英語の得手不得手の問題ではないので、英語が苦手な筆者も、その部分はしっかりとやっていきたい。

(※1)本稿を執筆している2024年2月19日時点の出力結果である。
(※2)本文中に記載されている製品名、サービス名等は各社の登録商標または商標です。

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太田 珠美
執筆者紹介

金融調査部

主任研究員 太田 珠美