「ウィズコロナ」から「アフターコロナ」へ
2023年05月22日
日本では大型連休が明けた5月8日に、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行した。これに伴い、毎日行われてきた厚生労働省による全国の新規感染者数の発表(「全数把握」)も8日が最後となった。筆者が日々通勤に利用している東京都内の地下鉄車内では、引き続きマスクを着用している人が多数派だが、今年の大型連休中には全国各地の観光地が久しぶりににぎわったとのニュースも多く伝えられ、日本もようやく「ウィズコロナ」から「アフターコロナ」に転換しつつあるといえる。
「アフターコロナ」への転換に伴い、日本では経済正常化への期待が改めて高まっている。例えば、内閣府が5月1日に発表した4月の消費動向調査(調査期間は4月7~20日)によると、消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)が前月比で2カ月連続上昇した。内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正した。基調判断の上方修正は2カ月連続で、「持ち直している」とするのは2017年12月以来、5年4カ月ぶりである。また、内閣府が5月11日に発表した4月の景気ウォッチャー調査(調査期間は4月25日~月末)によると、現状判断指数(季節調整値)が前月比で3カ月連続上昇して21年12月以来の高水準となり、先行き判断指数(同)は5カ月連続上昇して21年10月以来の高水準となった。内閣府は今回の調査結果について「景気は持ち直している。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、持ち直しが続くとみている」とした。
新型コロナの「5類」移行に伴い、新規感染者数については全国約5000の医療機関が1週間分を翌週にまとめて報告する「定点把握」に変わり、厚生労働省の発表は週1回、毎週金曜日に行われる。今後、「定点把握」によって新規感染者数の再増加が確認される可能性もある。しかし、約3年続いた「ウィズコロナ」から「アフターコロナ」への転換を不安視する向きは少ないと考えられることから、4月の消費動向調査や景気ウォッチャー調査で示されたような経済正常化への期待は続くとみている。
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