正しい文章を書くために必要なこと

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2023年02月06日

文章を書くことを仕事にしている。ただし、ここ2年余りは誰かが書いた文章をチェックしている時間の方がずっと多い。自分で文章を書く時も、当然ながら正しい文章になっているか確認しながら書いているが、自分の文章を客観的に見ることは案外難しい。ほかの人が書いた文章の方が、誤字脱字、「てにをは」の据わりの悪さ、主語と述語が適切に呼応していないねじれ文など、チェックポイントに気づきやすいように感じる。

レポートなどの文章を書くときに大切なことはいくつかあるが、まずは伝えたいことがあること。伝えたいことがあるから文章を書くのではないのかと言われてしまいそうだが、時に内容のない文章にお目にかかることがある。あるいは「伝えたいこと」に必要性の低い修飾の文章が長々と付随し、本題がぼやけてしまうこともある。伝えたいことがあり、それが明確になっていることが文章を書く時には大切だと考える。

正しい文章を書くためには、事実関係が正しいか、数字の誤りはないか、引用は適切に行っているかなどを確認するのは当然のことである。そして、論理的な文章展開に加えて、誤字脱字をなくし、主語と述語を正しく呼応させ、名詞に対しては適切な形容詞をつけるなど文章を整えることも大切である。論理的でない文章が読みにくいのはもちろんだが、整っていない文章も文意の把握が難しくなり、読む気をなくさせる要因となる。

もう一つ忘れてはならないのは、読み手を意識して、しっかりと届く文章にすることだ。同じ内容を伝えるにしても、読み手にとってわかりやすい文章となっているかを考えるということである。例えば金融市場に関連する仕事をしている読者であれば、米国の金融政策の話をする場合に「FRB」に「連邦準備制度理事会」や「米国の中央銀行」といった説明を加える必要性は低い。しかし、これが例えば高校生向けの文書であれば、「金融政策を担当する米国の中央銀行」といった説明を加えることが適切になろう。

もっとも、読者が必ずしも特定されない文章もある。このコラムも当社のウェブサイトに掲載され、どなたでも読めるものなので、説明のさじ加減が時に悩ましい。文章を書く時には創造力に加えて、(読み手を意識する)想像力も必要といえるだろう。

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山崎 加津子
執筆者紹介

金融調査部

金融調査部長 山崎 加津子